恋人が営むバーでした甘くて塩辛いキス (Page 3)
「っ!」
温度差に思わず体をビクッとさせていると、またファスナーの音が聞こえてきた。
そしてスツールの僅かな隙間に脚を乗せられ、美琴の体が近付いたときだ。
中心部に手や指とは違う、硬くて熱い肉の感触がした。
だがそれが美琴の性器で、オレのそれと同時に擦り合わせているのがすぐに理解できた。
ピシッと張った陰茎の皮膚同士をスリスリと摩擦させたり。
かと思えば2つ一緒に上下に擦り上げたり。
同じ代物とはいえ性器の皮膚同士を擦り合わせるのは、慣れないせいか未だに少しだけ違和感が残る。
しかし自分の手、女の膣や男の内壁では味わえない感覚は新鮮で不快感はなかった。
めったに味わえない他人の肉茎と手の感触、予測できない動きと熱さがゆっくりと心身の欲を高めていた。
「店でこんなエッチなことするなんて…自由な、店長さん」
「じゃあ、どちらかの家まで、それともこの近くのラブホテルまで、待てますか…?」
こんな状態なのに、そう付け加えると美琴は指先に力を込めて硬い肉をギュッと握った。
「っ…!」
まるで精気を搾り取るような鮮烈な締め付けに反応して、局部がお風呂上がりのようにムワッと湿った熱を含み出す。
「…多分っ、待てないっ」
「そう、でしょう…?」
心の奥底まで見透かすような笑みを浮かべたまま、美琴は止めていた手を動かす。
理性が薄れて心身の縛りが緩くなると、無性に考えてしまう。
店以外で、プライベートの時村直也はどんな表情を見せるのだろう?
どんな顔してどんなセックスするのか?
制服に隠れた肌や性器、中の感触や温度はどんな感じなのか?
今日は現実で本人の顔を見たせいか、余計にそんなことを考えてしまった。
無意識に閉ざしていた、まぶたをゆっくりと開ける。
「洋司さんっ…」
視界が開けた先に居るのは意中の時村さんではなく、うっとりした表情でオレの名前を口にする美琴の顔。
時村さんが好きで好きで仕方なかった時期も、告白したのも一時の恋情に身を任せてただけ。
今はもうとっくに諦めてるし、吹っ切れてるから美琴と円満に付き合っている。
もういい、もういいんだ…。
内心で延々と自分に言い聞かせるが、胸の奥を針で刺されたチクッとした痛みは鈍く残ったままだった。
それを完全に消し去りたくて、何も考えず頭を真っ白にしたくて。上に乗っかる美琴の体を下ろし、上半身をバーテーブルへうつ伏せに倒した。
前に手を通してベルトとホックを外して、下半身の衣類を取り去って床にパサリと落した。
隣の席に置いたカバンの中を漁り、手探りでローションのボトルを探し出した。
片手でキャップを開けて液体を垂らし、ほどよく滑りと湿りを含ませた指先を割れ目の中へ差し込んでいく。
「はぁっ…」
濡れた吐息が吐き出されると共に、剥き出しの下半身がピクリと震えた。
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