王族と奴隷
俺アビドはこの国に住まう身分の低い人間で、両親はおらず日々主人にコキを使われる日々だった。ある日、俺を買うと言ってやって来たのはこの国の王子の一人、ジャミルであった。そうしてこれが、彼の溜まりにたまった性欲を紛らわすための新しい労働の日々の始まりであった――。
「おいアビド、しっかり働け!」
鞭(むち)で打たれながら、俺は必死に仕事をしていた。
アビド、それが俺の名だ。
生まれはこのアラブの街のスラムで、行くあてもなく食事に困っていたところ、この男の甘い言葉に乗り奴隷の身に成り果てた。
今日もなんとか食にありつくため、必死に働いていた。
「おう、邪魔するぞ」
「はっ、王子様!」
ご主人が明らかに態度を変えて接する男は、俺の方に近づいてくる。
顎をくい、と上げて俺の顔を舐め回すように見つめる。
「こいつ、もらってくから」
「へえ、こいつですか!?こいつより上物なんざ山ほど…」
「金は置いてく。来い」
王子、と呼ばれた男は俺に来いと言う。
俺は従うしかなかった。
この新しいご主人様に――。
*****
連れてこられた王宮はきらきらとしていて、今まで見たこともない美しさだった。
ご主人様は俺を誘導する以外、何も話しかけてこない。
「ご主人様、それで俺はここで何を?」
「なぁに、早速働いてもらうさ」
そういうと、一つの部屋に案内する。
それはご主人様の部屋だった。
「ジャミル様、お帰りでしたか」
「ああ」
「また奴隷を…?」
「別に構わないだろ」
ジャミル様、というらしい。
ジャミル様は俺を一つの部屋に誘導し、二人きりの部屋の扉を閉じた。
「さあ、働いてもらうからな」
俺は突然、強い力でベッドの方に押し倒される。
その意味が理解できなかった。
「お前の仕事は一つ。俺の娼婦」
「男と男で?俺、よくわからない」
ジャミル様は俺の薄汚れた服をばり、と裂くように脱がせると、「薄汚えがたまにはいい」とじゅる、じゅると俺の体を舐めはじめた。
行為の意味は理解できなかったが、身体というのは素直なものだった。
全身にびりびり!と刺激が走る。
「っあっぁああっ!」
「お、悪くなさそう」
ニィ、と意地悪に笑うと俺の首元にがぶり、と突然噛み付いてきた。
「いったっ…ああん!!」
俺は女のような声を出してしまう。
「もちろんここで暮らすときはその噛み跡が見えるような服にする。安心しろ」
ジャミル様は、俺の目をその鋭い目でじろりとまっすぐに見つめながら、「お前は、俺の”女”だからな」とニィと歯を見せて笑った。
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