YES/NO?スイーツをめしあがれ
田中湊(みなと)の恋人はスイーツが大好きな、真面目でで優しい小河要一。要一を怒らせたくてわざと彼のスイーツを盗み食いしていたらついに逆鱗(げきりん)に触れてしまった!お仕置きされてしまう湊、甘いノーマルセックスしか知らなかった2人は新たな扉を開いてしまう?!
付き合い始めて1年がたち、要一の今まで知らなかったことが少しずつわかってきた。要一は、お風呂が好き。出かけるときはいつもちゃんとハンカチを持って行く。ハーフパンツは好きじゃないから家でもはかない。
そして…甘いものが好き。
俺は田中湊25歳。恋人の小河要一とは大学で出会い、紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、就職してからようやく付き合い始め1年が過ぎた頃、転がり込むようにして要一の家に住み着いた。家賃や光熱費も割り勘できるし、その方が経済的だよねなんて、ちょっと言い訳めいたこともいいながら、要一だって喜んで受け入れてくれた。
もともと世話好きの真面目で優しい要一は、なんでもやってもらいたい甘えん坊の俺の面倒を嫌な顔せずやってくれて、ご飯まで作ってくれる。夜は優しく甘く抱いてくれる。
甘いものが好きな要一は、よくスィーツを買ってくる。コンビニで買えるお手軽なものから、デパ地下でしか売っていない特別なものまでさまざまだが、いつも俺の分も買ってきてくれる。それを一緒に食べるのも楽しみだった。
それを知ってはいたが、あまりに空腹だった午後に残っていた分を食べてしまったのだ。後で買って返せばいいかと思っていたら、帰ってきた要一は激怒したのだ。
優しい要一が怒るのを初めて見たのはこのときだ。あまりに見慣れていないその姿に衝撃も受けたが、怒られるのがちょっと嬉しかった。正直、優しいだけだとなんだか気を遣われてばかりなのかと思っていたから、怒られて初めて要一が俺を対等に思ってくれてると実感してしまったのだ。
それがクセになった。もちろん、代わりのスィーツを買ってきて平謝りで毎回許してもらうんだけど、忘れた頃にまたワザと要一のスィーツを盗み食いして、怒られる。要一も、いつもより多めに買ってきたり、冷蔵庫の死角に隠してみたり、ついには『小河要一』とフルネームまで書かれていて、あまりの子供っぽさと、新しい要一の一面を知れて嬉しかった。
盗み食いして、怒られて、代わりのものを買ってくるというルーティンの中で、俺自身がデパ地下でスィーツを買うようになり、そんな新しい体験も楽しみになっていた。
しかし、とうとう要一の我慢は限界に達したようだった。
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