誕生日は解禁日 (Page 2)
「千紘、何百面相してるの?」
コーヒーカップを二つ手に持って、樹くんがソファに腰掛けた。
「えっ?…そんな顔してた??」
「してた」
僕の頬っぺたを軽くつまみながら、樹くんが微笑んだ。
あーこの顔、すごく好きだ…
僕にしか見せない優しい笑顔。
もう今すぐにでも抱きつきたい衝動を抑えて、照れながら笑い返した。
「コーヒーありがとう。あ、ミルクも入れてくれてる…」
「うん、千紘はこれないと飲めないだろ?お子様だから」
「お子様じゃない!もう20歳です〜」
「ははっそうだったな、千紘も大人の仲間入りだな」
そんな会話をしながら、コーヒーを飲んでなんとなくテレビを見る。
えっと…
えっちする時ってどうすればいいんだ??
しようって言うの??
急に??
コーヒー飲んでるし今じゃないよね??
今までの妄想というかイメトレでは、いい雰囲気になったときにこっちからキスして樹くんを誘うという流れだった。
でもそもそも誘うってどうやって誘うんだ??
そういえばただ樹くんとえっちなことをしたいと思ってただけであんまり具体的なことは考えてなかったな…。
くっそー僕のイメトレ?がこんなに実践で役に立たないとは…!
やっぱり童貞の僕には超絶イケメンの樹くんをリードするのは難易度が高すぎる。
「千紘」
「ん?」
「また考え事してる…」
「いや、別に?」
「ふぅん…」
急に樹くんが近付いてくる。
優しく肩を触られて、綺麗な顔が近付いてくる。
反射的に目を閉じたら、ちゅっと唇に柔らかい感触。
「千紘、誕生日おめでとう」
「あ、ありがとう…」
すごい近い距離で改めて祝いの言葉を言われ、顔が赤くなるのを感じた。
「あ、あの、樹くん…」
「ん…?」
「あの…その…」
「…」
「えっと…」
「千紘」
「え…?んっ」
僕がモゴモゴ言ってるうちにまたキスされた。
樹くん、もしかして約束のこと覚えてくれてたのかな…
樹くんの手が、僕の肩、腕、背中を撫でてくる。
「…あ、樹くん…」
「千紘、ベッド行こう…?」
「…!う、うん…!」
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