背徳の支配者 (Page 3)
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事態が動いたのは無事に葬儀を終えてからおよそ二ヵ月後。
突如現れた地上げ屋による嫌がらせ行為が横行し始めた。
「この辺り一帯を明け渡せ」
と、一方的に迫る相手に私はなすすべもなく、怯える子どもたちをなだめる日々を送っていた。
誰が手回しをしているのか、警察はあてにならず、条件を提示されるわけでもなく脅しは続いた。
参拝者は減り、寄付金を打ち切るといった知らせが続けて届き、人前で張り付けていた笑顔の裏で憔悴(しょうすい)しきっていた私の元に現れたのは、あの男だった。
創業者からすべてを受け継いだ彼は神の前で、「条件を飲むなら現状から救い出してやる」と、ニヤついた笑みを浮かべた。
すべては彼が仕組んだことだと察した私が「なぜ、こんな仕打ちを?」と問えば、彼は「あんたが欲しい」と言った。
その意味がわからずに首を傾げた私に対し、彼は「俺の愛人になれ」と命じてきた。
「なにを馬鹿な…」
と、一度は拒否をした。けれど、日に日に悪化する事態に、恐怖と不安により泣き止まぬ子どもたちの声は私の判断力を衰えさせた。
「気は変わったかい?」
再度訪ねてきた彼を見て、一刻も早く、現状から抜け出せるならと私はその条件を受け入れた。
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初めてのときは戸惑い、屈辱、羞恥、怒り――と、自身を襲う感情の起伏の激しさで肉体への感覚を気に掛ける余裕すらなかった。
痛みを感じたのはすべてが終わったあとで、この身に起きた出来事に吐き気をもよおした。
二度目はロザリオを手にし、唇を噛まれる感触、引き裂かれるような痛みと肉体の内側に放たれた熱にまたもやえずいた。
三度目から、彼は趣向を変えてきた。
それまでの彼の手は乱暴で優しさはこめられてはいなかった。
穏やかに、そして静かに肌を撫でる手は怯えから身を強張(こわば)らせた私の頬を包み、触れるだけのキスをした。
肌を撫で舌を這わせ、しおれていた男性器を柔く握って扱く。
生まれて初めての愛撫に、私の身体はいとも簡単に陥落(かんらく)し、気付けば彼の手の中に快楽の証を放っていた。
指を汚す白濁を、私に見せつけるかのごとく眼前で舐め上げて彼は「いいざまだな」と私を蔑(さげす)んだ。
射精直後で息を乱す私は放心する間もなく彼をにらむも、彼は愉(たの)しげに笑い「もっと脚を開け」と命じた。
言われた通りに両脚を左右に広げると、優しさを装う彼は手に潤滑をまとい、その手で私の臀(でん)部をまさぐった。
それまでに二度、乱暴に傷つけ犯した窄まりを狭間から見つけ出すと、滑った指を押し込んできた。
呼び起こされる痛みの記憶に私は身構えるも、彼はどこまでも優しく私を翻弄した。
彼は手間と時間をかけて丁寧に内部に埋め込んだ指を往復させ、ときに折り曲げては中を慣らしていった。
やがて窄まりは彼の指三本が縦横無尽に動き回れるほどに拡がり、気付けば私の唇からは甘ったるい喘ぎが漏れていた。
気持ちがいい、痛覚にも似た快感が私の肉体を支配する。
十分に解れた器官は指とは比べ物にならない質量を持つ彼の熱をも容易に受け入れ、内部が満たされると同時に私は二度目の吐精をした。
存分に苦痛を味わわせたのちに脳が痺れるような快感で満たす――この男の手口はまるで悪魔のようだ――。
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四度目、そして今回と回数を重ねるごとに、彼は私の身体のいたるところに触れた。
時間をかけて性感を引き出すことに専念し、期待通りの反応に子どものように目を輝かせていた。
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