出会い頭に御曹司に買われてしまった件
俺はいつものように出勤のために、会社までの道のりを歩いているところだった。すると、突如目の前に1台の黒塗りのリムジンが停車する。目の前から一人の黒人が出てきたと思いきや、札束をさしだれて「君を買わせてくれ」と言われて!?
(熱い…)
炎天下の下、今日も社畜である俺は出勤のためにいつもの会社までの道を歩いていた。
「仕事なんてしないで金儲けしたいなぁ…」
FXで何円儲けたとか、株で大成功したとか。そんな記事インターネットでたくさん見かけるけど、俺はそんなに投資の知識や運のある人間でもない。
ため息交じりに歩いていると、突然目の前に1台の車がキキィ!と音を立てて停車する。
「なんだ…?」
俺がぽつりと呟くと、突然扉が開いた。出てきたのは一人の黒人男性。漫画とかでしか見たことのないアラビアンな服装をしていた。
「ニポン人さん?」
彼は俺に対してそう問いかけをしてくる。どう答えればいいかわからず、俺は「い、イエス」と震えた声で返事をする。
すると、彼の横から二人のスーツの男が現れると、男の一人が突然札束を俺の手に握らせ、リムジンのほうへとエスコートする。
「えっ!ちょっと!なんですかこれ!諭吉さん!?」
俺はどうすればいいのかわからず、そのまま立ち止まってしまった。
そうしてそのまま、黒服にエスコートされる形で俺はリムジンへと乗せられる――。
*****
「あ、俺ハッサン。よろしくね」
リムジンに乗り込んで初めて彼は自己紹介をしてくれた。
「あ、どうも…。健太郎です」
「よろしく、ケンタロー」
顔は堀が深い印象で、かなり整っている。
リムジンの中でいろいろと話をしているとわかったが、ハッサンはアラブの若手石油王であり、しばらく日本企業との取引のために、日本に滞在しに来たとのことだ。
今日は初日のため、軽く企業の周辺を見て回っていたとのことだ。
日本語は結構堪能で、びっくりした。
「んで、俺は一体なぜ?何を?」
聞いていると、「ツキマシタ」と黒服に言われる。
リムジンが停車し、俺はそのまま車から降ろされる。
なされるがまま、案内されるとそこはホテルのスイートルームだった。
俺がポカンと口を開いていると石油王は俺のことを突然お姫様抱っこしたと思いきや、ベッドに俺をそっとおろす。
そうして、頭のターバンなど、身に着けていた衣服を脱ぐと「暑かったぁ…」と一言。
「さて、さっそくだけどちょっと一発付き合ってもらうね」
俺のネクタイはしゅるしゅるといともたやすく外され、俺はベッドから逃げられないような体勢になってしまった。
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