ライバルだったはずなのに (Page 3)

「あっ、だめっ、たけるっ、俺ッ…んっ」
「あんまり声出すと、誰か来たとき、バレちゃうよ?いいの?」
「…はぁ!?」
 そのとき、パタパタと誰かがトイレに駆け込んでくる足音が聞こえた。やばい。トイレの個室で、しかも男同士でこんなことしてるなんてチームの人にバレたら、顔なんか出せなくなってしまう。
「っっ、たっ、健、もうやめて、俺、声、出ちゃう…っあ!」
 俺は健の耳元に口を近づけて、できるだけ小さな声で言った。声がこれ以上出ないように健の肩に顔をうずめた。
「…ちょっ、サツキ、それはやばいって…」

 健のよくわからない言葉に、俺は少し顔を上げて健の耳元を見た。よく見れば、ほんのり赤く染まっている。いつの間にか個室の外の、人の気配もなくなっていた。
「…健、もしかして、興奮してんの?」
「べつに」
 顔を見ると、いつもの無表情が戸惑った顔に変わっていた。こんな状況なのに、なぜかその表情に俺は嬉しくなってしまった。
「んっ、お前のも触ってやる」
 俺は健が何か言う前に、そのまま健のズボンを下ろした。なぜか健の股間も俺と同じくらい大きくなっている。それを、思い切り握っていつも自分でするような感じで擦った。
「お前、もしかして俺の見て興奮したの?だから勃ってんの?」
 健は何も言わない。かわりに「くっ」と堪えるような息遣いが聞こえてきた。

 しばらく二人で触りあっていると、健が絞り出すように言った。
「ちょっと、くっ付けさせて」
「…は?どういうこと?」
 健は便器に腰かけて、その膝の上に向かい合うように俺をまたがらせた。
 何をしてるのかとぼんやり見ていると、健は自分と俺の股間はくっ付けて一緒に擦りだした。健の手は大きいから、両手で包むと二人分すっぽりと包みこまれた。
「…いやっ、健っ、なんかこれ、んっ…恥ずかしいんだけどっ!」
「…大丈夫」
 一体なにが大丈夫なのか。初めておとずれる快感に尋ねる余裕もないまま、ただひたすら堪え続けた。
「んっ、アッ、…なにこれっ」
 健の親指が股間の先を刺激する。背中に電流が走るような快感により一層大きな声が出てしまった。

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