幼馴染は俺を求め、不眠症と偽った (Page 2)
ベッドに移動…っていってもほんの数歩歩いただけ。
成人男性にしては小柄で痩せ型の仁と、細身でもそこそこに背は高い俺の二人分の体重にベッドは軋(きし)んだ音を立てた。
「…今回は何日寝てないんだ?」
仁を組み敷いて、洗いざらしのシャツを捲り上げる。
夜間シフトで昼間はほとんど外に出ず、太陽を避けて過ごす仁の肌は透き通るように白く、浮いた肋骨(ろっこつ)のせいもあって不健康さが際(きわ)立った。
「多分、三日くらい」
受け答えは緩慢(かんまん)で、顔色も悪い。
「三日か…最近、不眠の頻度(ひんど)上がってないか?」
顔を隠す前髪を掻き上げるように撫でて、視線を絡ませた。
よく言えば童顔、的を射た言い方をするなら社会性が薄く幼い顔――顔立ち自体は悪くはなく、むしろこの髪さえなんとかすればそこらの女子よりも可愛い顔をしている。
まあ、そのせいでトラブルが絶えず、不登校になったわけだけど…。
「それは、その…」
目を泳がせ、口籠(ごも)る。そんな仁に、俺は笑いかけ「勘違いすんなよ」と続けた。
「迷惑とかじゃない。いつでも呼んでいいから」
優しさをこめた口調で、剥き出しにした額に唇を落として頬を撫(な)でた。
わかった――と頷くのを見て、俺はいい子だ、と呟いて今度は仁の唇にキスをした。
仁は幼馴染の腐れ縁、そして、俺の初恋の相手でもあった。
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