僕たちは、幼馴染をやめた

・作

気が弱く、身体も弱い春人。蒸し暑い初夏のとある日、彼は懐かしい夢を見た。大学進学を機に上京した彼は、日々の疲れから倒れてしまう。目覚めた病室で出会ったのは、久しぶりに再会した幼馴染、拓海。懐かしい夢で交わしていた約束とは、一体なんだっただろうか。

 「約束だよ。大きくなったら、僕は――」

 蒸し暑い日の正午過ぎに見た夢は、あまりにも懐かしいものだった。
僕は夢の内容について、深く考えることはしなかった。
 今日も暑いなあ、などと考えながらゆっくりと窓際の時計に目を移す。時刻は2時半を指していた。

 「やべ、遅刻する」

 慌ててベッドから飛び起きた。3時からバイトのシフトが入っているのだった。

 上京して半年。本来なら勉学に励むべきだろうに、今日みたく講義を放り投げておきながら、アルバイトの方に精を出す日々。
特別、珍しいことではないとは思う。

 とはいえ、どことなく罪悪感のようなものを感じられずにはいられないのが、僕の性格である。

 「代わり頼まれたら仕方ないか」

 そう、僕は決して”いいひと”ではないが、なんだかんだと面倒ごとを押しつけられやすい立ち位置にいる。昔からそうだ。
頼みこまれると断りきれず、結局どんな場面においても、周りから見て都合のいいやつだったりする。

 シューズの靴ひもを結びなおしながら、僕はみぞおち辺りの微かな痛みに顔をしかめた。
 こんな性格でありながら、昔から胃が弱い。こんな風にチクチクとした痛みを感じる度、己の軟弱さに辟易する。

 今日もまた、忙しい午後になりそうだと思いながら、外の暑さに小さなため息をついたのだった。

*****

  「――春人、大丈夫?」

 バイトの終わりに、誰かが声をかけてきた。よっぽど顔色でも悪かったのだろう。
確かに、ロングシフトをこなした後の吐き気は久しぶりにこたえた。

 「大丈夫です、お疲れ様でした」

 ややふらつく足取りで、店を後にする。
 蒸し暑かった昼間と違って、深夜も過ぎれば夜風が心地よく感じた。

 (いっ……て……)

 思わず、うずくまる。
 こみあげてくる吐き気とみぞおちの痛みに対して、僕は情けなく店外のフェンスに手をかけた。こんなことは久しぶりだった。
 このままでは一歩も動けない。仕方なく、スマートフォンを取り出した。
誰かに――、誰かに、助けを求めなければ。

 (あれ?)

 誰かって、誰だろう。
自分でも笑ってしまうくらいに、こういうときに頼れる人が思い至らなかった。何人かの顔が頭に浮かんだものの、すぐに消えていく。
”迷惑をかけてしまうかもしれない”という自分の気持ちを上回ってまで、助けを求められる誰かが、僕にはいなかった。

 次の瞬間、目の前は暗くなり、僕はその場に倒れこむ。
ああ、なんてやりづらい世の中なんだろう。そんな言葉が頭をよぎった気がした。

*****

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