光から闇への転化
魔王に狙われる国の騎士であるキレスは、祖国の姫に密かな恋心を抱いていた。あるとき、魔王の遣わす魔物に手を焼いていたキレスの国は策としてキレスと他の騎士たちを魔王討伐にいかせることにした。魔王のもとにたどり着いたのはキレス1人、そんなキレスに魔王は――。
想いを告げられないことを悲しく思ったことはない。
姫様への想いは剣に捧げたのだから。
我が国は常に魔王に狙われている。
魔王から放たれた魔物達に手を焼いている我が国の騎士たちは魔物達から人々を守る城壁である。
だがその騎士たちも人間であるが為に有限には耐えうるが無限には耐えられない。
無限と表現するに相応しい魔物たちの数に流石の我が国も疲弊していた。
そんな我が国が出した策は魔王城への突入、そして魔王の討伐であった。
一介の騎士に出来るものかと苦言を呈したが疲弊しきっていた我が国がとれる策はそれしかなかった。
どの騎士たちも血迷った策であると叫んだが我が国にその声が届くことはなかった。
私は姫様の命を守るためであればと剣をとった。
*****
数々の仲間が散っていった。
それでも私たちは魔王城へ向かった。
魔王のもとに辿り着くころには私1人になっていた。
「ほう、ここまで来るとは」
「姫様のため…ここまでに散っていった仲間のため…魔王!倒させてもらうぞ!」
「ふん、本当に自分の実力だけでお前1人がここまで来れたと思っているのか?」
「どういう意味だ…んぁッ!?」
剣を構えて魔王のもとへ走ろうとすると突然体に快楽が走る。
体がじわじわと熱を持つ、手に力が入らなくなって剣が足元に落ちる。
鎧の重さに耐えきれずその場に崩れ落ち、魔王に跪くような姿になってしまう。
「眠れ」
「―ぁ…」
その声と共に意識が遠くなる。
「姫…さま…」
その言葉を最後に私は意識を失った。
*****
目を覚ますと生まれたままの姿でベッドに沈んでいた。
体が鉛のように重く、動かない、これは夢かうつつかと考えていたころ、これが現実だと思い知る人物が部屋の中に入ってきた。
「目が覚めたようだな」
「魔王…」
嫌悪が声に出てしまう。
その様子を見て尚、魔王は不敵な笑みを浮かべる。
「私はヴィルフリード、貴様は?」
「敵国の騎士の名を聞くとは…焼きでも回ったか?」
「クッ…クク…名乗らぬのであれば私が新たな名でもつけてやろうか?」
「…キレス」
「いい子だ」
突然ドクンと体が心臓になったかのように高鳴る。
そしてどんどん熱くなっていく、あのときと同じように。
なんとか体を起こして抵抗しようとするもできたことは自分の勃起したペニスを確認することと、見たことのないタトゥーのようなものが下腹部に入っているのを見ることだけだった。
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