にゃんにゃんエッチ~飼い猫は発情期!?~
恋人にフラれてやけ酒をあおりそのまま寝落ちした亮が目を覚ますと、目の前には知らない男がいた。男は自分のことを飼い猫のハルだと言い張り、「ずっと好きだった」と迫ってくる。勢いのままにセックスしてしまって…!?
ざらり、とした舌が頬を這うのを感じて亮は目を覚ました。
時計を見れば午前2時。
ひとり暮らしのワンルームマンションのテーブルの上には酒の缶が散乱していた。
3年付き合ったゲイの恋人と別れ、やけ酒を煽っているうちに眠りに落ちてしまったらしい。
顔の近くには飼い猫のハルが座り込み、心配そうに亮の顔を覗き込んでいた。
「なんだハル…起こしてくれたのか」
にゃあん、とハルが鳴き声をあげる。
ハルは薄茶色と白色の混ざり合った猫で、2年ほど前に家の前で拾ってから一緒に暮らしている。
亮はアルコールのせいでぼんやりとする頭を軽く振ってぼやいた。
「お前が人間だったらなあ…」
にゃん、と短く鳴いたハルの喉元を撫で、亮はそのままベッドへの上へと倒れこんだ。
*****
「亮、起きて。起きてよ」
聞きなれない声が自分の名を呼んでいることに気づくまでにしばらくかかった。
「え…」
薄く目をひらけば、大きな瞳が亮のことを覗き込んでいる。
「は!?はぁ!?誰」
知らない男が自分の上に跨るように乗っかって、じっと顔をくっつけるようにして亮のことを見つめている。
亮のTシャツを着て優しく微笑む男の薄茶色の髪の毛は、カーテンから差し込む陽の光に透けていた。
「わかんない?ほら、見てこの耳」
頭のうえから生えた猫の耳を指さして男が微笑んだ。
「…猫?」
まわりを見回せばハルの姿が見当たらない。
やさしく微笑んだ男の目はハルによく似ていた。
「ねえ亮。ぼく人間になったんだよ」
「人間…?」
「亮が願ったんでしょ?ぼくが人間になるように」
夢かうつつかわからないその感覚に寝起きの頭がついていかない。
ぺろり、とハルの舌が亮の頬を這う感触でふと我にかえる。
「えっと、その…?距離が、近い、よ」
「なんで?いつもしてることでしょ?」
ハルが不思議そうに亮の顔を見つめて、さらに口をひらいた。
「それに亮とあの人がこうしてるの、ぼく見てたよ」
そう言ったハルが唇を亮の唇に押し当てた。
ハルの熱い唇にぐらりと理性が揺れそうになる。
「…ダメだって」
「なんで、もうあの人はいないんでしょ?」
ハルが猫の耳をぴょこんと動かして首を傾げる。
そういえば、と昨日猫のハル相手に酒を飲みながらくだをまいたことを思い出した。
「ぼくずっと亮のことが好きだったんだよ?」
そう言ってもう一度ハルが亮に口づける。
唇を割り開くように舌を挿入され、なめらかな舌の動きに思わず亮の下半身が疼いた。
「ね、ほらね、いいでしょう?何してもいいよ?」
ハルの淫靡なささやき声にふわふわと意識がまどろむ。
(そうだ…猫が人間になるわけないじゃないか。これは夢なんだ…)
そう言い聞かせ亮はハルのうなじにそっと手を伸ばし、引き寄せ抱きしめた。
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