今度までには。〜気ままな恋人〜 (Page 2)
俺のドラマ撮影がクランクアップしてから数週間。
一時的にバタついていた俺のスケジュールも若干落ち着き、晴人と会える頻度も増えてきた。
落ち着いたとは言っても、お互い売り出し中で慢性的な忙しさはまだまだ引いていない。そんな中でも、彼の顔を見れば疲れなんて吹っ飛んだ。
しかし、そんな平穏な日々が一瞬で崩れ去る出来事が襲う。
*****
「どういうことだこれ!」
俺は、晴人の部屋に来訪して一番に叫んだ。手に週刊誌を持って。
「…優雨、違うんだよ、これは」
「何が違うんだよ!」
おどおどしている晴人に、持っていた週刊誌を投げつけた。
開かれているページに載っていたのは、彼と若手女優のツーショット写真だった。変装しながらも2人並んで路上を歩いている様子は、記事の内容どおり恋人同士に見える。SNSも、朝からその話題で持ちきりな様子だった。
「俺、ずっと我慢してきた…っ、お前もともとノンケだし、それでも俺に付き合ってくれてると思ったら、浮気されても強く文句なんて言えないし…!」
「…」
「浮気される度、今度こそ別れるって言わなきゃって思っても…っ、お前の顔見たら、怒れなくなっちゃって…!」
俺は初めて、晴人の前で涙を流した。初めて、彼に自分のマイナスな感情をぶつけた。
ただ晴人の顔は見ることが出来なくて、ほぼ俯きながら怒鳴る。他人から見たらおかしい光景だと思う。
「でも、もう別れる…っ!こんな思い、もうしたくない…っ、簡単な約束ひとつも守らないお前の隣になんか、もういたくない…っ!」
いたたまれなくなった俺は、晴人に背を向けて部屋を出ようとする。
「優雨!待って…っ!」
晴人が、背後から俺の肩を掴んできた。俺はそれを振り払おうとするけど、強い力で押さえ込まれ、彼の腕の中に抱き込まれた。
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