エッチな忘れ物
カメラマンの黒崎が撮影スタジオを出ると、売り出し中のモデル・風斗が現れる。「忘れ物をした」と言う風斗。黒崎は一緒にスタジオに戻るが、いきなり風斗に押し倒されてしまう。抵抗する間もなく年下のイケメンモデルに開発される黒崎のマゾヒズム。風斗の忘れ物とはノンケの黒崎をオトすことだった…!
「黒崎さん」
撮影スタジオを出ると、背後から若く澄んだ声がした。
カメラマンの黒崎仁は、目の前の鏡面扉に自分ではない影を見つける。
振り返ると、スレンダーで長身の男が立っていた。
「風斗くん?」
「黒崎さんがまだ残ってるって聞いて」
黒崎は自分を見つめる美しい瞳に、思わず吸い込まれそうになった。
「えっと…もしかして忘れ物かな?」
「忘れ物…。そう、忘れ物しちゃった」
風斗は黒崎が持っているスタジオの鍵を指さすと、
「中、入っていい?」
と言った。
黒崎は施錠したばかりの扉を開けた。
風斗は黒崎の横をすり抜け、スタジオの中へ入っていく。
「やっと、ふたりっきりになれた」
その言葉と一緒に、ふわっと甘いムスクの香りが横切った。
佐伯風斗は売り出し中のモデルだ。
長い手脚と白い肌には、父親の出身である東欧の血が色濃く出ている。
艶やかな黒髪は日本人の母親譲りだろう。
そして少し青みがかった瞳には、20代前半とは思えない憂いと色気があった。
黒崎は風斗と初めて仕事をした日のことを今でも鮮明に覚えている。
まるで上等な美術品を撮っているような気分だった。
黒崎はこの道20年のベテランカメラマンだが、これほど心奪われた被写体は後にも先にも風斗しかいない。
「風斗くん、打ち上げじゃなかったの?」
「つまんないから抜けてきたんだ。おじさんばっかなんだもん」
風斗は上着を脱ぐと、撮影用のベッドに寝そべった。
「一応、今回の撮影クルーの最年長は俺なんだが?」
「黒崎さんは特別だよ。ねぇ、こっち来て」
風斗が黒崎を見上げて手招きした。
指先の動作まで美しく、濡れた瞳が艶かしい。
黒崎は吸い寄せられるようにベッドの端に座った。
「もっとこっち」
風斗が黒崎の腕を力強く引いた。
思わずベッドに倒れ込む。
すかさず風斗が覆い被さり、黒崎の両手首を掴むとシーツに押しつけた。
「風斗…くん?」
「ふふ…チョウの標本みたい」
華奢な体のどこにこんな力があるのかと、黒崎は思った。
身長こそ風斗より少し低いが、それでも黒崎の身長は180cmを優に超える。
大学時代にラグビーで鍛えた肉体も健在だ。
「忘れ物、回収していい?」
風斗が黒崎に顔を近づけて言った。
「え…?」
「黒崎さんを落とすの、忘れてた」
そう囁くと、風斗は黒崎に甘いキスをした。
イケオジ!
攻めなのにMとか…しかもイケオジとか…Hじゃんこんなん…
匿名 さん 2020年11月7日