わんことご主人の甘い生活 (Page 2)

ヒトと同じ姿をしている。

だけど、耳と尻尾だけは犬のまま。

目と髪は黒く襟足が長めで、体つきはご主人よりもがっしりしている。

首輪はそのまま付いてて、少しホッとした。

でも、その安堵はすぐにかき消される。

疼く体が抑えられない。

熱くて、苦しくて、息が上がる。

ほぼ無意識にふらふらとご主人と一緒に寝る部屋に入った。

ご主人の匂いがたくさんする。

落ち着くかと思ったけど、余計に体がじんじんする。

「ふー、ふー…」

感情の赴くままに、ご主人の匂いが一番するクローゼットを開けた。

彼の服がたくさんある。

洗濯の匂いもするけど、ご主人の匂いも消えてない。

その中からシャツを数枚掴み取ると、俺はしゃがみ込んで、それらに鼻先に運び、顔を埋める。

ご主人の匂い。

あったかくて、優しくて、いつもなら落ち着く匂い。

「はぁ…はぁ」

どんどん息が上がっていく。

ふと、下半身で痛いくらい張りつめているものに気付く。

我慢できずに硬くなったそれを握って扱く。

気持ちいい。

ご主人に撫でられるのとはまた違う快感に手が止まらない。

片手でご主人の服を握って顔に押し付けたまま、俺は夢中で熱を刺激する。

次第に先端から体液がにじんで、それを絡めるとくちゅくちゅと濡れた音が響く。

「あ…ぁ…ん…ご、しゅじん…」

ぬめりが余計に快感を呼んで、どんどん手の動きが速くなる。

「あっ…ぁああ!」

手の中に白い液体がべっとりと付いた。

なんとなく舐めてみると、苦くてまずい。

でも、この行為は気持ちよくて。

何度もご主人の匂いを嗅ぎながら、性器を弄っては白濁を吐き出す。

時間も忘れて。

「ただいまー。あれ?ラック?」

玄関でご主人の声がしていることにも気付かないで発情し続けていた。

「ラック?あれ…寝室から声…」

怪訝そうな声でご主人がドアからのぞき込んでいることも知らなかった。

「なっ!誰だ!?」

勢いよくドアが開いて、驚いて俺も止まる。

耳や尻尾の毛が逆立ち、固まっていた。

視線の先には目を見開いて驚愕の色に染まるご主人がいた。

俺は今、ヒトの姿でいながら裸だ。

そして、手には彼の衣服を握りしめて自慰にいそしんでいたのだ。

嫌われるかもしれない。

捨てられるだろうか。

一気に不安が押し寄せてくる。

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