隠れビッチを落としたい (Page 4)
「先輩、俺じゃダメですか?」
「藤堂…」
こうして今に至るというわけだ。
断り方を考えているところを見ると、先輩はそれだけ俺を傷付けないようにと思ってくれていることがわかる。
やっぱり先輩は優しい…。
でも俺は…。
「湊先輩、俺って先輩のタイプと全然違いますか?」
「えっ」
「お遊び相手としても無理?」
少しでも可能性があるなら、俺は先輩の遊び相手でもいい。
本当は俺だけにしてほしいけど…、でも、土俵にすら上がっていない今は、まずそこから始めなければ。
そんなふうに考えて発した言葉に、本気だとわかってくれたようで、先輩は諦めたように息を吐いた。
「せっかく藤堂が話してくれたんだから、俺も隠さず話すよ…」
こちらへ視線を移した先輩は、困ったような笑みを浮かべる。
「タイプじゃない…なんてこと全然ない」
「先輩!」
「ごめん、むしろ…どストライクなんだよ」
「えっ…」
まさかの言葉に腑抜けた声が出る。
そんな俺に先輩は今度は頬を染めて続けた。
「初めて会ったときからずっと藤堂のこと、いいなって思ってたし、俺も…藤堂のこと好きなんだよ…」
湊先輩が俺のことを好き…。
夢かと疑うようなその言葉に、俺は唖然とした。
「嘘だと思われるのも無理ないと思う…、藤堂には俺が他のやつと遊んでるの見られたわけだし…」
「嘘なんて思わないですよ」
絶対に無理だと諦めようとして、諦められなかった人。
そんな人から好きだと言われて、嘘だと跳ね除けられるわけがない。
「先輩、それじゃあこれから俺と付き合っ」
「いや、それはできない!」
付き合ってください、という言葉は、途中で遮られた。
最近のコメント