隠れビッチを落としたい (Page 5)
「なんでですか!」
そう詰め寄ると、先輩は言いづらそうに口を開いた。
「だって…いろんな男と遊んできたんだよ…」
何を言うのかと思えば、すでに知っていると伝えたばかりのこと。
さっき話したばかりなのに、なぜわざわざ…。
意味がわからず眉をひそめる俺に、先輩は弱々しく話し出す。
「俺…学生時代のときからずっと遊んでたんだ…。去年の春、藤堂に初めて出会ったとき、とにかく見た目が好みで、これまでみたいに遊べたらって思ってた…。だから教育担当になって近付けるチャンスできてラッキーって思ってたんだけど…、関わるうちに、藤堂ホント芯が強くていい子で、どんどん好きになっていった…。藤堂も俺のこと好きだって気付いたとき、本当に嬉しかった…」
「じゃあ…」
「好きだからこそ!…今まで遊んでたこんな俺なんかが近付いていい存在じゃないって思ったんだ」
だから付き合えない。
先輩はそう締めくくった。
「いや…意味わからないのでそれは却下で」
「へっ?」
俺の言葉に今度は先輩が腑抜けた声を上げる。
「俺のこと好きなんですよね?付き合ったりしたいと思わないんですか?」
「そりゃ…」
「じゃあいいじゃないですか」
「いや、だからっ話聞いてた?」
付き合おう、付き合わない、その押し問答に先に痺れを切らしたのは俺。
「湊先輩」
突然手を掴まれてビクリと驚く先輩。
「先輩がどれだけ遊んできたとしても、そんなの全然いいです。俺はそんな先輩もひっくるめて愛する自信あります。俺の2年間の片思い舐めないでください」
「本当に?…」
「そんな不安なら証明してあげますよ」
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