愛とセックス (Page 2)
「あああああっ!!」
急に大きな刺激が到達し、優理は大きな声を上げる。光は優理の腰を持ち、ガツガツと奥を突く。優理は枕の端をぎゅっと握った。
「あっ、んっ、んんっ…」
「優理…優理…」
光は一度陰茎部と抜くと、優理を引き寄せ正面を向かせた。
「優理、好きだよ」
そして再び後ろの穴に向かって自身を沈める。
「んっ…」
光は腰を動かしながら優理の頭をなでる。その手は優しさに溢れた手つきだった。最後までひどい扱いでいいのに、光は必ず挿入後は優しくするのだ。
「あっ!んんっ…」
奥と入り口をそれぞれ行ったり来たりしながら、光は優理の陰茎を握った。光の手のひらに亀頭が擦れ、優理は声を出した。
「優理…」
優理の唇を吸うようにキスをする。入ってくる舌は熱かった。
「んっ、ふっ…」
「優理…お願い…」
どこにも行かないで、そんな声が聞こえたような気がした。
「あっ、んっ、ん…」
気づけば、陰茎を握る手は亀頭を集中的に扱いているようだった。そして変わらず奥をノックされ続け、優理は目の前がチカチカしていた。
「あっ…イ、いく…」
「優理…」
最後に奥を突き、光のモノがナカで跳ねるのを感じる。思わずぎゅっと締めてしまい、光のくぐもった声が聞こえた。腹の上には事情の跡が残っている。優理はそれを見届けて意識を手放した。
優理が目を覚ますと隣に光はいなかった。代わりに隣の部屋からピアノの音が聴こえる。優理は起き上がり部屋を覗きに行く。そこには集中してピアノを弾く光の姿があった。
よかった、弾けるようになったんだ、優理はホッとしてベッドルームに戻った。
優理と光は同じ音楽大学に通っていた。
優理がこの大学に進学を決めたのは、オープンキャンパスの時に光の弾くピアノを聴いてからだった。どうしてももう一度会いたかった。そしてもう一度音色を聴かせてほしかった。
入学してからも光が演奏会に出るときはこっそり聴きに行き、密かにファン活動をしていた。ところが優理が大学三年生になって、しばらくしたある日を境に光は演奏会に出ることをやめてしまったのだった。
「光さん!!」
学内で見かけた光を優理は呼びとめた。ずっと姿を見ていなかったので心配していたのだ。
「僕、あなたのファンなんです…!またあなたの演奏が聴きたい…!」
「俺の?」
「そうなんです!あなたが大好きなんです!」
「俺のことが好き?」
優理はとにかく必死だった。またどうにかしてピアノを弾いて欲しい、ただそれだけだった。
「じゃあ今日うちに来てよ、ピアノ弾いてやるよ」
このとき、ついて行かなければ、そう後悔したこともあった。
光の住む防音のマンションの一室は、ベッドルームとピアノと机しかないシンプルで生活感のない部屋だった。
光はピアノの前に座るが何も弾く素振りを見せなかった。
「…お前でもだめか」
光は小さい声で呟く。
「…どういうことですか?」
「恋人に振られて、そしたら情けないことに俺は必要とされていないと感じてしまったんだ。そう思ったらピアノが弾けなくなった」
光はピアノに背を向けて座り直す。そして優理に悲しそうな顔を向けた。
「お前に好きだと言われたら、なんか弾ける気がしたんだ。でも違ったみたいだな」
「待って、じゃあ僕があなたを愛するから、だから弾いて」
「愛するって…お前何言って…」
優理は椅子に座る光をぎゅっと抱き締めた。
「大丈夫、あなたを救う」
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