わがまま言ったら、兄にピンクの手錠をかけられました
大学生の海斗は社会人の兄、速人と一緒に暮らしている。家事全般を速人にまかせっきりなのに、夕食の魚が嫌だと言って、子供みたいに駄々をこねる海斗。そのままわがままを言っていたら、なぜかえっちのときなどに使う用のピンクの手錠をかけられてしまい…!?
「ハンバーグが食べたいー!」
大学に入学して以来、実家から離れて社会人の兄、速人の家に住まわしてもらっている。大学生の俺の方がヒマなんだけど、兄の方が家事全般得意なので、まかせっきりになっている。
そして、今日の夕飯はアジの塩焼きだそうで…。
「好き嫌いしてないで、魚も食べなさい」
魚をまな板に乗せて捌こうとしている。料理上手な兄はアジの腹を切り開いて、内臓を取り出している。
「やだっ! 生臭いっ」
俺はソファに座ったままさらに手足をバタつかせて、抵抗を試みる。
「海斗! うるさいっ、今日は魚!」
「いやだっ!」
「子供かっ」
「速人に比べたら、子供だっ」
さすがに俺のわがままにイラっときたのか、包丁で大きな音を立てながら、アジの頭を落とした。そして包丁を置くと、俺を置いて自分の部屋に行ってしまった。
「えっ? 海斗、そんなに怒ってる…? そ、そんなにわがまま言った?」
後を追いかけるべきか悩んでいると、戻ってくる足音が聞こえた。とりあえず、ご飯作ってくれないと困るから謝っておこう。
「あっあの、ごめ…」
「海斗、ちょっとこっち来なさい」
何かが入っている紙袋を持って、俺に自分の方へ来るように促した。言い方も𠮟りつけるような命令するような口調でちょっと怖い。
「は、はい」
思わず敬語になってしまった。さらに怒らせない様に、素直に従う。そしてその紙袋の中身が気になって覗いたけど、その前に「両手を出して」と言われた。
「ん? うん?」
疑問を投げかけながらも両手を差し出すと、紙袋からピンク色のふわふわの輪っかが出てきた。それを手際よく俺の両手につけるので、何もわからずに、その様子を眺めてしまった。
「はいできた。これでわがまま言いながら、じたばたできないな」
「へぇっ?」
そのふわふわの手錠をかけられてしまってから、自分が拘束されたことに気づいた。えっ、なんで速人こんなの持ってるの!? これ、明らかに、プレイ用の拘束具では…
「速人、あのこれ…、えっちのときとかに使うやつでは…」
「会社の忘年会の二次会で同期にもらった。おふざけでもらうには度がすぎてるよな」
「うん? 会社…」
えー、社会人ってこんなのプレゼントしちゃうの?
「やっと、夕飯の続きできる」
速人は至って平然と俺を拘束した後、至って平然と魚を捌く作業に戻ろうとする。俺はこのまま放置?
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