ヴァンパイアと後輩くん
俺・大介には誰にもいえない秘密がある。それはヴァンパイアであるということ。優しすぎる後輩の優に絶賛片思い中。俺が体調を崩したことから、優にヴァンパイアだと知られてしまう。そこからお互いの気持ちを確かめ合う…
全部、全部優のせいだ。
その名前にふさわしい優しさが、こんな最低な俺を甘やかすんだ。
「大介くん?どうかした?」
「あ、いや…ちょっと貧血?かな!」
「顔色悪いね。医務室行く?」
「いや!あの、ほんと俺少し休んだら治るから」
「でもやっぱ心配だから家まで送るよ」
「ほんと!1人になった方が落ち着くから…だからありがたいけど、ごめん」
「そっか、わかった。まじでヤバくなったらいつでも電話して?」
「ありがとう、じゃあ…」
急いで立ち上がって優から離れる。
なにせ俺はある意味本当に貧血だ。
優と一緒にいたら、傷つけてしまう。
俺はヴァンパイアだから…。
家に着くと、ストックしてある血を飲む。
「…どうしよ、もうストックなくなっちゃった」
急に不安が襲う。
血は飲まなきゃ生きていけない。
だけど誰も傷つけたくない、きっと血が出るのは痛いから。
*****
「大介くん」
「あぁ、優どうした?」
「あれから学校来てないの?」
「うん…」
「まだ体調悪い?」
「いや、あんまり…その、なんていうか、あダメだ頭回んない」
「大介くん今どこにいる?」
「あ、今家」
「すぐ行くから待ってて。電話繋いだままね」
荒い息が聞こえる中、俺は意識を手放した。
*****
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