吸血鬼との淫靡な契約 (Page 2)
男の声を聞いた瞬間に背筋が凍り付いた。聞いただけでゾッとする冷たい声音。明らかに普通の人間ではないことがすぐにわかった。
「ほ、本当に…吸血鬼!?」
恐怖心を振り払って叫んだ。すると吸血鬼であろうものはクスっと笑って近づいてきた。
「よく来てくれたね。待っていたよ」
「待っていただと? 俺が来ることを知っていたっていうのか?」
「ああ、もちろんだよ。君の名前だって知っているさ。レオ」
名前を呼ばれて全身の血の気が引いた。まさか本当に吸血鬼だというのか? 信じられないけど否定することもできない。こいつは間違いなく人間ではない雰囲気を放っている。
「どうして名前を知っているんだ? あんたは何者なんだ? 」
「私はヴィクトール。名乗るのが遅くて申し訳ない。君のことなら何でもわかるさ。食の好みも」
「なんで…!」
「血を吸うのに、獲物が何を食べているのか需要だろう?」
ヴィクトールは当たり前のことのように言った。そして俺の顎を掴んで顔を近づける。息がかかるほどの距離で見つめられて思わずドキッとする。
「美味しそうな匂いがする…。食べてしまいたいほど愛しい…」
ヴィクトールは舌なめずりした。紅い瞳に見つめられ体が硬直してしまう。抵抗しようとしても指一本動かせなかった。まるで蛇に睨まれた蛙みたいに動けなくなってしまった。
「少し痛いが、たいしたことはない」
ヴィクトールはそう言うと、いきなり首筋に噛みついてきた。鋭い牙が肌を突き破ると痛みを感じた。同時に凄まじい快感に襲われる。血を吸われている感覚に身悶えした。頭が真っ白になり何も考えられなくなる。俺はいつの間にか快楽に溺れていた。
「あっ…あぁ…」
甘い声を上げながら腰を揺らす。ヴィクトールに抱きついてもっとほしいと強請ってしまう。やがて彼が唇を離すと傷口を押さえられた。
「君の血は甘い…。たくさん飲んだらお腹いっぱいになってしまうな。残りはまた今度に取っておくことにしよう」
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