無敵の僕が唯一勝てない相手は絶倫
よく女の人に間違われる僕・真白は、女顔がコンプレックスだった。僕の気持ちを知りたいと恋人の奏馬にメイクしてほしいと頼まれる。顔が近くてドキドキする僕を見透かしてベッドへ誘われ、嫌な思いも吹っ飛ぶ濃厚な夜を過ごす事になって…。
『ねぇ、あの二人お似合いだね!』
『ホントだ!美男美女だね』
うるさいうるさいうるさい。
僕は女の子じゃない。
どいつもこいつもジロジロ見て、コソコソ話して…好き勝手いう。
「…僕はッ」
不意に耳が聞こえなくなる。
雑音もなにもない世界。
顔をあげると奏馬が僕を見つめてた。
奏馬のヘッドホンを付けてくれたんだ…。
「ありがとう奏馬。帰ろっか」
ニコッと笑った奏馬は、手を繋ぎ歩き出した。
てんか
「なんか不機嫌そうだねぇ?」
「それわざとなの?僕がイライラしてる理由わかるでしょ」
「そんなに女の子に見られるのが嫌?」
「嫌に決まってるだろ!僕は男だ」
顔がカッと熱くなるのを感じる。
だめだ、僕今奏馬に八つ当たりしてる…。
「ん〜、でも外でも堂々と手繋げるよぉ?」
「それは…!嬉しいけど、それだけだよいいことなんて」
「じゃあオレ女の子の格好しようかな?」
「はぁ?なんで?なんでそうなるの?」
「ん〜なんでって、女の子に見られたらどんな気持ちか知るため?」
「バカなの?第一、奏馬は身長も大きいしきっと女の子の服を着ようが見えないと思うけど?」
「まぁまぁ、ことは試しだよぉ。とりあえずメイクしてほしいなぁ」
柔らかい話し方、ふわふわな見た目から想像できないけどこいつは1度いい出したら止まらない。
頑固だし、すぐ自分のペースに持ち込む。
現に僕は今メイク道具を手に取ろうとしている。
「オレも1回真白にメイクしてもらいたかったんだぁ。うれしいなぁ」
「黙って、ほら下地塗るよ」
「あはは。うれしいなぁ」
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