あまい、あまい (Page 5)
「…調子乗りすぎ」
「すみません…」
甘いピロートーク…は夢のまた夢。
あの後中に出したことをこっぴどく怒られ、今はレンさんの腰のマッサージをさせられている。
さっきまでの、あのかわいいレンさんはもうどこかへ行ってしまったのだろうか。
「大体、ユウタがヒロトにあんなこと言わなきゃよかった話なのに、なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだよ!」
「…いや…まぁそうなんですけど…」
「おなか痛くなったらユウタのせいだからな!」
唇を尖らせたレンさんが、こちらを振り向く。
憎まれ口をたたいていても、愛しいものは愛しい。
そう思うのと同時に、自然とその頬に手が伸びる。
互いに目が合って、一瞬の沈黙の後、その唇を指先でなぞってやる。
さっきまでの情事で、ぎゅっと噛み締められた唇はまだ赤く染まったままで。
「…かわいかったです、すごく」
自然と、そんな言葉がこぼれた。
目の前のレンさんは、恥ずかしそうにうつむいて、前を向きなおす。
いじらしいその仕草は、きっとどんな女の子にだってかなわない。
俺がこの世で、かわいいと思うのも、愛しいと思うのも、レンさん以外にはいない。
「もう別れるなんて、言わせませんから」
後ろから抱きしめて、その耳元で優しく唱えた。
まわした手のひらをぎゅっと握った、きっとそれが彼なりの愛の言葉。
「大好きですよ、レンさん」
そう言って、二人もう一度ベッドに沈み込む。
今度は、とろけるくらいに優しくて、甘いキスを。
Fin.
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