仲直りは『×××するまで出られない部屋』で (Page 3)
「いった…」
最悪だ。触れるだけでピリピリする。
「アキ、どうして俺から離れたの? どうしてランちゃんの名前が出てくるの?」
「………」
「これ以上酷いことしたくないから答えて」
「…自分の胸に聞いてみろよ」
「わかんないから教えてってば。なんで俺から逃げんの? なんでランちゃんなわけ?」
「…さっさと抱けよ」
「アキ!」
腕を引っ張られ、竜也の顔が迫ってくる。
でもその顔に手を当てて拒否をした。
「俺はお前のおもちゃなんかじゃない!」
「…さっきからなに言ってんの? アキをおもちゃだなんて思ったことないよ。どうしたの? アキ、ねぇ? なにを隠してるの?」
竜也は俺の背中を支えながら一緒にしゃがんだ。様子がおかしいと思ったのか目元を撫でて優しくしてくる。
今はその優しさが嫌だってのに。
「アキ、言ってくれないとわかんないよ」
「さっさと抱けよ。それとも俺が抱けばいい?」
竜也のベルトに手を伸ばして、カチャカチャと音をたてながら外す。
「早くこの部屋から出たい。お前と一緒にいたくない」
本当にセックスすれば部屋を出られるのか、とか。そんな考えはもうどこにもない。
部屋を出る手段がコレしかないなら試してみるしかない。これが竜也に抱いてもらえる最後になるかもしれないし。
「アキが一緒にいたくなくても俺は離さないよ」
「…あっそ」
パンツに手を伸ばしたとき、視界が反転した。
ひんやりとした床に背中がついて竜也が俺をじっと見下ろす。その目から逃げるように顔を横に向けた。
ようやく抱いてもらえる。酷いものかもしれないけど、最後になるのかもしれないけど。
それでもいい、とまぶたを閉じた。だけどやってきたのは残酷な言葉。
「この部屋ってセックスしないと出られないんだよね?」
何を考えているのか。
嫌な予感がして竜也を見上げると、俺の頬に唇を落としてただ抱きしめた。
「ならセックスしなければ一緒にいられるってことだよね」
「…なん、で」
「俺はむしろ好都合だし。アキと一緒にいられるんだから」
「お前が乗り気じゃないなら俺がする!」
バタバタと足を動かしても、竜也の膝が邪魔をする。手首は床に押さえつけられ、びくりともしない。
「竜也!」
「教えてくれたらしてあげるよ」
「なっ…んで…」
「なんで? アキが手紙一つで家を出てってから、ずっと寂しかったんだよ。電話もメールもつながらなくて、職場に行ってもいないし、実家にも帰ってもいなくて」
だってそれは…。
ホテルに入っていく恋人を見れば誰だって嫌になる。俺だけが特殊なわけじゃない。
「正直に言ってよ。それとも言えない理由があるのかな? 他に好きな人ができたの?」
「それはお前のほうだろ!」
「…俺?」
ひたすら可愛い
ランちゃんになりたい人生でした。
こちらの兄と兄の恋人で飯3杯はいけます。
匿名 さん 2020年12月15日