仲直りは『×××するまで出られない部屋』で (Page 4)
力が緩んで、竜也を突き放そうと腕に力を入れる。だけど持ち直した竜也の手に力が入って床に押し付けられた。
「俺が好きなのはアキだ。アキ以外にいるわけがないだろ」
「嘘つけ」
「嘘じゃない! アキと付き合うために親に頭を下げて、同棲するために親の会社にだって入った! 」
「そのときだけはな」
「ふざけるな!」
竜也の聞いたことのない怒声に視線をあげる。竜也は悲しそうな目をして、俺の首筋に顔を埋めた。
「俺がどれだけアキを好きかわかってる? 俺がどれだけアキを想ってるかわかってる?」
「…だったらなんで」
「え…?」
「だったらなんでランと一緒にホテルに入ったんだよ!」
「…ホテル? ランちゃんと?」
とぼける気か。
証拠があるわけじゃないんだし、とぼけたところで追及する気はない。
「…あっ、あのときの!?」
竜也は勢いよく手首を引いて、起き上がらせた俺を抱きしめた。
それはもう力強く。
「ごめんっ! 本当にごめん!」
「…べつに」
「いや、すっかり忘れてた…。ほんと、マジで…ごめんなさい」
忘れるほど普通のことだったってことか。
そういうイメージはなかったけど、あれだけモテて女遊びをしないほうがおかしい。
「ランちゃんに頼まれて、ラブホの見学に付き添ったんだ。マンガの資料にしたいとかで」
「…はい?」
「一人で入るより入りやすいとかで、頼まれたから一緒に行ったんだよ。もちろんやましいことはないし、今のいままで忘れてたし…」
「なんでお前が頼まれんの…? てかラブホなんだぞ? なんで頼まれただけで付き添うの?」
「あ…うん。俺、大学に入学したときにアキに告白したでしょ?」
「それが関係あるわけ?」
「あるよ。それよりもずっと前からアキのこと好きだったから」
「…え?」
竜也は言いにくそうにため息をつく。俺の頬を撫でながら優しく微笑んだ。
「ランちゃんに気付かれていて、アキに告白したかったら言うこと聞けって…」
「…はぁ?」
「手を出そうとするたびに邪魔が入ったのもそのせい。それにアキが女の子といい雰囲気になったときにけん制してくれていたのはランちゃんだし」
だから俺には女が寄り付かず、仲良くなっても離れたのか。
理由を聞いたらなんだか、ほっとした。妹との意外な関係も知れたし、告白をするためだけに頑張っていたってことか。
「アキ、誤解させてごめんね」
「…もういい。話したんだから抱いてよ」
「部屋を出たら家に帰って来てくれるよね?」
コクリとうなずくと、竜也は俺をベッドに運んだ。
上も下も服を脱がせられ、竜也の指先が肌をなぞる。
ひたすら可愛い
ランちゃんになりたい人生でした。
こちらの兄と兄の恋人で飯3杯はいけます。
匿名 さん 2020年12月15日