君が書くメロディはいつも僕へのラブソング
音大4年生の芳樹と敦。最後のコンサートに向けて練習をしている芳樹に敦が新曲を弾いてほしいと頼む。その曲の中には芳樹のよがっているときの声の音程が組み込まれていた。それを知った芳樹は弾くのをためらうが…。
俺は、大学最後のコンサートに向けて練習をしていた。
「やっぱり、芳樹(よしき)の伴奏はいつも聞き入っちゃうな」
そういって眺めているのは、大学から知り合い、今では、恋人の敦(あつし)である。
「敦が書いた曲も先生に評判がいいぞ?心に響くメロディだって学内でも評判だし」
「そりゃあ、芳樹への思いを曲にしてるからな。みんなラブソング好きだろ?」
こいつは、恥ずかしいことをさらりといってしまう。だから、あんな曲をかけるかもしれないのだが…。
「っっ!!お前の実力もあるからだろ!!俺への思いを曲にしたなんて、変なこというんじゃねぇよ!」
照れ隠しで、こんなことをいつもいってしまう。俺は、ピアノをかなで始める。
「今度のコンサートの自由曲、俺の曲を弾いてくれないか?」
敦は、俺にできたばかりの楽譜を渡した。
俺は、無言で受け取り目を通す。
いつも思うが、いつも色気がある曲を書く。これを俺が弾くと考えると、演奏科の生徒としてぞくぞくしてしまう。
「うん…いつも思うけど、いい曲書くよね?」
俺が、4ページ目に目を通していると、いつの間にか後ろに回っていた敦がある小節を指さした。
「ここの音、芳樹がよがってるときの音にそっくりにしてみたんだ…」
敦は、意地悪い顔で俺の顔を覗き込む。
「!?俺がこんな音程出せるわけないだろ!!」
「じゃあ、ここで試してみる?そういえば、俺も芳樹も絶対音感あったよな?」
敦はそういうと、俺にキスをした。そのキスは深く甘く俺の口内を犯していく。
「んっっ…んぁっ…」
「さっきの音はどこの小節にあったかわかるか?」
「っっ!!?わからねぇよ!そんなのも組み込んだのか!?」
「いってるだろ?俺は芳樹のことを考えて曲を作ってるって。ちなみに、この音は2ページ目の5小節目な?」
なんかエロい音が入ってると思ったけど、正体はこれだったのか…
「芳樹のエロい音が入ってる曲を本人が奏でるなんて興奮するだろ?」
「ただの変態じゃないか!!」
俺はすかさず突っ込んだ。だけど、曲自体は本当にまとまっていていい曲なんだ。奏でたいと思ってしまう。演奏家としての俺がそう告げていた。
「弾きたいんだろ?俺は、芳樹に一番に弾いてほしい。これは、芳樹のために書いた曲だからな…」
敦はもう一度俺にキスをする。それと同時に、俺のシャツの中に手を入れ、胸を撫で始めた。
「んんっっ…んふっ…んっっ!!」
練習室は貸し切ってあるけれど、ここは大学だ。誰が来るかわからない。俺は必死に抵抗するが、敦の愛撫にはかなわなかった。
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