今夜バニラセックスを卒業します (Page 2)
「ミノル…もう布団から出なさい」
「無理!!やだ!!もう死にたい!!」
頭まですっぽりと布団を被り、ミノルはベッドでうずくまっていた。
オナニーを目撃されてから1時間。
衛に合わせる顔がなく、ミノルは半ベソをかきながら布団の中に隠れている。
衛はスーツ姿のまま、ミノルの横に腰掛けていた。
「本当に気にしてないから…暗くてよく見えなかったし」
布団越しに衛がミノルの体を撫でた。
「ほら、着替えないと風邪ひくぞ。下着だけでも持ってこようか?」
「見えてるじゃん!下着脱いでたの、ちゃんと見てるじゃん!」
布団の中でミノルが声を荒げた。
そしてまたメソメソと泣き始め、鼻をすする音が部屋に響いた。
「…もうやだ…まもちゃんと暮らせない…」
「一緒に暮らせないって、どうして?」
「…だって、僕のこと気持ち悪いって思ったでしょ?」
「そんなふうに思わないよ」
衛は小さくため息をつくと、なだめるよう布団を撫でた。
「うそだよ…きっと軽蔑した…」
「してないよ」
「してるよ。僕にはわかるもん…まもちゃんが考えてること」
「俺の考え?」
少しの沈黙の後、ミノルは弱々しく言った。
「まもちゃんは優しいから、断り切れなくて僕とバニラセックスしてたんだよ。擦り合いっこだって、本当は迷惑だったんでしょ?だから、さっきの僕を見て”もうこんなやつと一緒に暮らせない”って考えてるはずだよ…」
ミノルはそう捲(まく)し立てると、またシクシクと泣き始めた。
「…それが俺の考えだと?」
「そうだよ。まもちゃんは、もう僕を嫌いに…」
ミノルが答え終える前に、衛が荒々しく布団が剥ぎ取った。
「いやっ…やだっ見ないでっ…!」
ミノルは思わず下半身を隠した。
衛はその腕を掴むと、ミノルに馬乗りになった。
「俺がそんなこと考えると思うのかっ…?」
怒りを抑え込んだ衛の低い声に、ミノルはビクッと肩をすくめた。
「ごめんなさい…もうこんなことしないから怒らないで」
「俺が怒っているのはコレのことじゃない」
衛は下着を手に取った。
ミノルが欲望を吐き出すために使った衛の下着だ。
「ああ…見ないで…」
乾きだした精液が、べっとりと生地を汚している。
そこから雄の青い匂いが強烈に放たれていた。
「ごめん…な…さい…っ」
ミノルはポロポロと涙を流すと、子どものようにしゃくり上げて泣いた。
「そうじゃないんだよ、ミノル」
衛はミノルの涙を拭うと、背中にそっと腕を回した。
そして震える体を抱きしめると、耳元で優しく言った。
「こんなことで、俺がミノルを軽蔑するわけないだろ。それに、今までの関係だって俺はなにひとつ無理なんてしていないよ」
「…本当?」
ミノルは顔を上げると、恐る恐る衛を見た。
「じゃあ…何に怒ってるの?」
「…自分にだよ。ミノルが勘違いするような接し方しかできなかった自分に怒ってる」
ミノルは驚いて目を丸くした。
衛はミノルを抱き起すと、少し冷えた肩を撫でた。
「俺ね、ミノルのことが大事過ぎて、たまにどうしていいかわからなくなるんだ。欲しいものは何でも与えてやりたいし、セックスにも応えたい。でも、体の負担を考えたらどうしても一線を越えられなくてね…。今だって、ミノルの体が冷えてしまわないか心配でしょうがない」
そう言うと、スーツのジャケットを脱いでミノルに掛けた。
「まもちゃん…」
「だから、一緒に暮らせないなんて言わないでくれよ。一瞬、心臓が止まるかと思った…」
衛は眉を少し下げると、いつものスマートな表情をへなへなと崩した。
「まもちゃん、そんな顔するんだね」
「ミノルの前ではいつもカッコつけてるからな」
衛は照れ臭そうに笑うと、ミノルに触れるだけのキスをした。
「んっ…」
「やっぱり体、冷えてるな…」
ミノルの頬を撫でながら、衛が心配そうに言った。
「大丈夫だよ…まもちゃんが温めてくれれば」
「…あんなにエッチな姿を見せといて、まだ俺を煽るつもりか?」
「だって、ずっとまもちゃんとひとつになりたかったんだもん」
「ミノル…」
ミノルは少し上目遣いになると、衛の胸に手を当てた。
「体の負担ならちゃんとわかってるし、覚悟もできてるよ。それに…」
そしてミノルは恥ずかしそうに、丸められた衛の下着を見た。
「いっぱい準備したから、大丈夫だと思う…」
「…っ」
衛は何かが吹っ切れたようにミノルを押し倒した。
余裕のない顔を浮かべ、服を脱ぐ。
引き締まった肉体は少し汗ばんでいた。
「まもちゃん…っ」
ベルトを外す頃にはもう、勃ち上がったペニスがズボンを持ち上げていた。
ミノルは待ち切れず、自らアナルに指を沈める。
不思議と恥ずかしさは微塵(みじん)も感じなかった。
「んあぁっ…まもちゃん…すぐほしい…ッ」
濡れそぼった入口が、ヒクヒクと伸縮しながら衛を誘う。
ミノルに覆い被さると、衛はイキり勃つ自身をあてがった。
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