鬼畜オーディション
若手俳優の白羽冬馬は、有名演出家のオーディションへやってきた。合格条件は「メスイキすること」…。オーディションとは名ばかりの鬼畜な調教に、冬馬はどこまで耐えられるのか…!?
重い防音扉に隔たれた地下スタジオで、若い男が嬌声を上げていた。
「あああッ…んぁあああっ先生ぇ…!」
男は白羽冬馬という新進気鋭の舞台俳優だった。
成人したばかりの肉体は、細い腰回りにあどけなさを残している。
滑らかな肌に玉のような汗を浮かべ、スタジオの床でのたうち回っていた。
「はぁああっ…お…お尻が…ぁぁあぅっン…!」
アナルに埋められたローターが、冬馬に鈍い振動を与えている。
決してそれだけでは満足できない微量の振動だ。
長時間に及ぶ緩やかな刺激で、入り口はすっかりほぐれている。
色素の薄い粘膜が、ヒクヒクといやらしく震えていた。
「もう…お尻がヘンになりますっ…先生…んあッッ」
冬馬は自ら腰をくねらせると、形のいい唇を噛んだ。
「おやおや、いけないよ。役者が顔に傷をつけては…」
冬馬の頭上から、地を這うような低い声がした。
演出家の本郷朔二郎が、ねっとりとした笑みで見下ろしていた。
「はぁっ…先生ぇ…ッッ」
後ろ手に拘束された手首を擦り合わせ、冬馬は体をよじった。
「前を触りたくなったのかい?」
本郷はしゃがみ込むと、冬馬のペニスにフーッと息を吹きかけた。
「はぁんっっっ!」
「あぁ…もうこんなにして。イキり勃って裏筋の血管がドクドクしているよ」
「本郷先生…痛い…痛いんですっ」
「それは君自身が大きくなったからだろう?初めてお尻いじられて興奮してしまったかな」
本郷は白髪混じりの髪をかき上げると、反り勃つペニスの根元に触れた。
「あぅッ…あああッだめですっ!ちぎれ…るッ」
「ただの射精管理で根を上げていては、先が思いやられるなぁ」
我慢汁でぐっしょり濡れた隠毛を、本郷がざらりと撫でた。
再び本郷の指が根元に触れる。
冬馬は我慢できず、自ら腰を突き出した。
「んぁああっ…先生っ…これ取って…」
今にも破裂しそうな陰茎が、本郷の目の前で淫靡に揺れた。
いつ射精してもおかしくないほど、勇ましく勃ち上がっている。
非情にもそれを食い止めているのは、根元をくくる黄色の紐(ひも)だった。
「君はエキゾチックな顔立ちだから、やはり黄色がよく似合うね」
まるで買ってやったアクセサリーを褒めるように、指で紐をひと撫でした。
「んはぁああッ!」
わずかな刺激にも体が過剰に反応してしまう。
冬馬は背中を弓なりにすると、息絶え絶えにつぶやいた。
「せめて…せめて、緩めてください…」
「そうか。もう限界か…」
すると本郷は立ち上がり、小さくため息をついた。
「では、君は不合格だ」
「…そんな…先生っ…」
「とても残念だよ。ご苦労様」
そう言って、本郷はローターのスイッチを切った。
「ま…待ってください…先生!」
冬馬は呼び止めたが、本郷はすでに上着に手を通している。
「すぐに私のアシスタントが掃除に来る。そしたら玩具と紐を取ってもらいなさい。彼は元モデルで色気のある男だから、予定がなければ遊んでもらうといい」
吐き捨てるように言うと、本郷は足早に出口へ向かった。
「先生…待って…」
冬馬は震える体を反転させると、芋虫のように床を這った。
それは野心が乱心か、冬馬は本郷の足にしがみついた。
「…します…メスイ…キ…しますから…っ」
本郷は振り返ると、自分にすがり付く若い俳優を満足げに見下ろした。
「では、オーディションを続けるかね?」
「…はい」
”メスイキ”という合格条件が、今になって冬馬に重くのしかかった。
*****
本郷朔二郎といえば、演劇業界でその名を知らぬ者はない。
役者なら誰もが本郷の演出に憧れる。
特に、顔だけで人気者になった俳優は、本郷の舞台で一皮剥けることを望んでいた。
白羽冬馬もそのひとりだった。
もちろんその競争率は高く、選ばれし者だけが舞台に立つことを許される。
そのまた一握りの野心家だけが、主役の座を射止めるのだった。
「メスイキなんてものはね、固定概念の解放なのだよ。オスを捨てメスに堕ちるのではない。オスを解放しメスの快楽を取り入れるのさ…」
冬馬の拘束を解きながら、本郷はいつになく雄弁だった。
ローターはまだナカにいたが、振動が止まったおかげで随分と楽になった。
それに、冬馬自身も勃起が落ち着き、根元を締め付ける紐の痛みも、さっきよりマシになっていた。
「そうして君はやっと君自身と向き合えるんだ。メスイキは君からくだらない常識とプライドを捨て去ってくれる」
本郷の言葉に相槌(あいづち)を打ちながら、冬馬は解放された腕を伸ばした。
そして手首を見て驚いた。
さっきまでロープで縛られていたというのに、締め跡や鬱血痕が一切ない。
唇を噛むことを咎(とが)められた記憶がよみがえる。
その慣れた様子から、本郷がこれまでに数多の役者に同じようなことをしてきたと、冬馬は嫌でもわかってしまった。
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