最愛の恋人の胸でみる甘く淫らな刹那の夢 (Page 6)
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「ゴメンね、嘘言ってからかって」
2週間ぶりのセックスを終えて心身が落ち着いた後、涼真さんは僕に謝罪の言葉を与えた。
悪いと思ってるかは疑問だが…。
「…仕事、スムーズに終わったの?」
「まあね。それに…」
「それに?」
低くなった声に意味深さを感じ、語尾を上げて言葉をオウム返しした。
すると、思ってもない答えが返ってきた。
「行かなかった、子供のとこ」
「え…どうして?」
思わず聞いてしまうと涼真さんは答えた。
「…確かに、子供は会ってない今でも大事だし、過去にするつもりもない。でも…」
一呼吸置いた後に彼は続けた。
「1日でも早くこっちに帰ってきて、徹也に会いたかった」
そう言うと涼真さんは、付き合った時のように僕の体を胸に収めた。
涼真さんの心で子供や奥さんはこの先も存在し続けるに違いない。
僕より優先する日が訪れるのも間違いない。
その日が来た時は潔く身を退くしかない。
でも…
「ありがとう」
涼真さんの中で僕が優先されている間は甘えさせて。
布越しに伝わる体温と規則正しい鼓動を聞きながら、僕はまぶたをゆっくり閉じた。
Fin.
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