閃光の誘惑
イナセとミズタニは入社5年目の同期。仕事ができていつもクールなミズタニのことをイナセはずっと疎ましく思っていた。そんなある日の残業後、突然降りだした雨と雷でイナセはミズタニの意外すぎる一面を知ることになり、そのまま社内で2人は…!?
「ミズタニ…係長、遅くなってすいませんね、頼まれてた資料です」
イナセはワザとらしくそう言って、手にした書類をミズタニに渡した。嫌味っぽいその言いかたにも眉一つ動かさず、ミズタニは「どうも」とだけ言って資料を受け取ると、すぐにパソコン画面に向き直り軽快にタイピングしだした。
それを見てイナセは聞こえない程度に舌打ちをして自分のデスクへと戻る。すでに定時を回った社内に残っているのはイナセとミズタニだけだった。
同い年で同期入社。イナセはミズタニのことがどうしても好きなれなかった。同じ営業部に配属されて、1年目からメキメキと頭角を現したミズタニはあっという間に営業部のエースとなった。入社5年、28歳となった今では営業部第一課の係長を務めている。
一方のイナセは、営業マンとしてはイマイチパッとせず、営業資料や催事の段取りをおもに任される営業二課へと入社3年で異動となった。
といっても同じ営業部で互いのデスクは通路を挟んで背中合わせだ。
ミズタニがどうかはわからないが、イナセにとってはどうしたって意識してしまう相手で、自分よりも明らかに優秀なミズタニの存在は疎ましいことこのうえなかった。
営業の現場だと人の心を掴む言葉を次々と口にするくせにそれ以外では表情1つ崩さずクールでいることもイナセは気にいらなかった。
今日だって本当は定時で帰れたのに、退勤直前に朝一の営業会議で必要な資料の追加をミズタニに言いつけられたのだ。そのせいで残業するハメになり、観たかったテレビ番組も逃してしまった。オマケにいつの間に降りだしたのか、大粒の雨が窓を濡らしていた。
今日は傘を持ってきていないからコンビニまで走らないといけないな…と思い、ウンザリとした気分でイナセが立ちあがった、そのときだった。
ピカッと閃光が走り、その直後…
ゴロゴロ…バリィッ!!
「ひっぎゃぁぁ!」
激しい雷鳴と共にすぐ後ろから悲鳴があがった。次いで、バサバサと書類や本が床に落ちる音。驚いて振り返ったさき、耳を塞いでうずくまっているミズタニの姿にイナセは目を疑った。
「な…え?ミズタニ?」
そう声をかけたとき、再び閃光が走り間髪いれずに雷鳴。
「あっあ…ひゃああっ!!」
耳を塞いでうずくまるミズタニが震えながら悲鳴をあげている。その様子にイナセがポカンとしていたら、フッと室内の照明が消えた。
閃光の誘惑
話の展開が不自然ですけど、コメディ?ドタバタBLなのか
もう少し二人の関係、エピソードが欲しかったかも、エロよりも
コロコロ さん 2021年4月4日