先生たちの秘めごと

・作

高校の美術教師をしているタカミヤは甘い容姿のせいで女子から人気があるもののゲイだった。タカミヤがゲイであることを知っている体育教師ナリタは、女子からのアプローチに期待をもたせるような返事を返すタカミヤの態度に不満そうだが、そんな2人は実はセフレだった――

テスト期間中の放課後の校舎は、部活動にはげむ生徒たちのにぎやかしい声もなく静かだ。
そんな静かな校舎内、美術室で1人の女子生徒と向きあう教師の姿があった。

「私、タカミヤ先生が本気で好きなんです!」

上目遣いの女子生徒の告白に、甘いマスクのその教師、タカミヤは片眉を下げていかにも困った、という表情で笑う。

「ありがとう。気持ちは嬉しいけど、僕の立場では応えることはできないよ。そうだな…君が成人したときにまだ僕を想ってくれていたら、そのときは僕から告白させてね」

内緒ね、と言うように、立てた人差し指を唇に当てるタカミヤに、女子生徒は頬を染め「はいっ!」とうわずった声をあげて美術室を飛び出していった。
生徒の足音が遠ざかって行ったとき、美術準備室へと続く扉がガタッとたてつけの悪い音を立てながら開いた。

「なにが『僕から告白させて』だよ。耳が腐るかと思ったわ」

Tシャツにジャージ姿で腕組をしてこちらをにらんでくるその人物に向けて、タカミヤは笑顔を返す。

「また窓から入ってきて盗み聞きですか?ナリタ先生」

言いながらタカミヤは、ナリタというその教師を押しのけるようにして準備室のなかへと入った。
中庭が覗く小窓の鍵を閉め、藍色のカーテンをシャッと引く。目隠しするみたいに。
バタンとタカミヤの背後で扉が閉まり、ガチンッと鍵がかかる。それに反応を示さなかったタカミヤを、ナリタが背後から抱きしめてきた。
わずかに身を固くしたタカミヤの、臀部(でんぶ)をスーッとナリタの指がなぞる。

「んっ…」

衣服越しに軽く触れられただけで、ビクッと反応するタカミヤの耳元で、フンッとナリタが意地悪く笑った。

「さっきの生徒に教えてやりてーわ。コイツは男にケツのあな掘られて喜ぶホモだって…なぁ?」

緩くパーマのかかった髪を片手でかきわけて、ペロリ。ナリタの赤い舌が、タカミヤの耳を舐めた。

「んん…もぅっ…」

口でそう言って、首を軽く横に振るタカミヤだが、抱きしめられた体を振り解こうとはしなかった。
クチュ…と耳を舐められると、その音と感触でゾクゾクと全身が甘く痺れる。
タカミヤがワイシャツの上に着ている薄手のベストをたくし上げると、ナリタはボタンを乱暴に外していく。

「ナリタ先生…」

「あ?ヤラねぇとかナシだぞ?俺は今ムシャクシャしてんだよ」

「部活休みだからフラストレーション溜まってるんですか?」

クスクスとタカミヤが笑うと、チッと軽い舌打ちをしてナリタは中途半端にボタンを外したシャツはそのままに、ズボンのベルトに手をかけた。

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