エレファントの輝き (Page 3)

初めて僕の部屋をエマニュエルが訪れた放課後から、僕たちは一緒に授業へいき、授業後は学園内の植物園へ赴いては共に絵を描いた。

「そういえば、エマニュエルに以前質問したことがあったけどさ、どうして君を“エリー”と呼ぶ人がいるの?」
「はは、僕のことを女性扱いしてるからだよ」

僕はその時、彼の言っている言葉はわからなかった。自分がどんな顔をエマニュエルに向けて聞いているかも考えていなかった。

「え、彼らは君のことを女性だと思っているの?」
エマニュエルは腹を抱えてケラケラと笑った。
「オーギュスタン、君は本当におもしろいね」
桜の花びらのような唇から言葉が出てくる。それは僕の知らない世界だった。

―――エマニュエル。どうして君は、そのちいさな体に一人でたくさんの不安を抱え込んでいたんだい。
あの頃の僕たちは、まだ幼くて成長した体にこころがまだ、ついていっていなかったのだろうか。

「ねぇ、オーギュスタン。君が描いてくれた僕の絵を祖父にあげてもいいかい?」

「もちろんだよ!なんなら毎日君のおじいさんに送れるように、君を毎日デッサンしてあげようか?」
「はは、それはもうしているだろう。僕のことを毎日コソコソ描いていること、僕が気付いていないとでも?」

エマニュエルの笑い顔は、蕾が花開くように美しかった。

僕らは進級して来年から中学年だ。
来年はエマニュエルと同じ部屋を希望しよう。きっと毎日が笑いで耐えないだろう。

*****

2学年に上がった夏の前だった。いや、まだ雪が残っていたかもしれない。定かではない。

「オーギュスタン!やばいって!エマニュエルが殴られてる!」

血相を変えて僕らの寮室に友人何名かが飛び込んできた。慌てすぎた僕は窓から寮を出て、エマニュエルの元へ駆けつけた。

エマニュエルは上級生に殴られて、その綺麗な顔からは血が流れていた。
ボクは上級生に飛びついて馬乗りになった。伸びているエマニュエルをまだ殴ろうとしたからだ。
寮長が止めに入って僕らのケンカは収まったが、学園内の大きな話題になってしまった。

同時に、学園長にエマニュエルと上級生の関係が明るみになりエマニュエルと上級生は休学を申し渡された。

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