エレファントの輝き (Page 4)

「エマニュエル。聞いたよ」

「あぁ、僕の休学と上級生との関係かい?」

エマニュエルは顔をあげずに微笑んだ。口元がまだ赤い。

「オーギュスタン、君までうるさいことを言わないで」

「何も言うつもりはないよ。君が納得して行っているならね。僕は難しいことはわからない。
僕らはもっとも近い存在だと信じているけれど、本人ではないから君の気持ちまではわからないんだ。
だから、聞けるなら聞きたいな、とは思っているよ」

「…君ってやつは、常々人格者だよね」

「え!僕って人格者かい?好きに生きて言いたいことを言っているだけさ!」

「ふふ、君は何にも縛られないな。オーギュスタン、聞いてくれるかい」

「あぁ、人格者としてね」

エマニュエルが僕を見て笑った。

エマニュエルは小さく囁くように僕へ吐露した。祖父に育てられ、二人っきりで生きてきたと。
「ある日、僕の容姿を気に入ったお金持ちが大学資金を援助すると申し出てきた。
当時の僕は情けないことに学が全くなくてね、お金の計算はおろか、文字の読み書きすらできない田舎者だった」
エマニュエルの祖父は彼を学校へ行かせてやれないことを気に病んでいたという。

「最初はよかったんだ。本当にただただ…――――ッ、あの上級生の男は、その貴族の男の息子さ。
疎ましいことに、僕の弱みを握ったつもりか僕を求めてくる」
エマニュエルが微笑む。悲しみを含むさげすんだ笑みだった。

大学へ在学すると、エマニュエルの祖父は、体調を崩すことが多くなったという。

「病院に掛かるのにお金がいるんだ…」

彼は学園で体を売って、祖父に仕送りをしていたという。
「祖父には知られたくないんだ。これ以上、迷惑をかけたくない。
僕はいいんだ、彼らに抱かれるだけ、人形みたいになんの感情もない」

エマニュエルが伏せていたまつ毛をあげ、僕をじっと見つめる。

「でもね、愛や、恋を僕もしてみたかった。お願いだよ、オーギュスタン。
一度でいい…汚い僕の体を抱いてくれるかい?」

僕は震える唇を噛み締め、エマニュエルを抱きしめた。

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