シャワールームで起こした大胆で淫らな行動 (Page 2)
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喫茶店を出てからも気持ちは上がらないままだった。
モデル業とお互いのキャンパスライフの合間を縫って作った、貴重な時間だったのに。
幸運にもファンサービスも求められなかったのに。
(…台無しだ)
内心で悔みながら、今夜の寝床となる山吹くんの生活空間に足を踏み入れた。
不足していた洗面用具や換えの衣類。
夜に使用するであろうローションとコンドーム。
それらが入った袋を、山吹くんはリビングのローテーブルに置いた。
「シャワー浴びてきていい?」
袋を片付けたくて中身を取り出していると、いつも通りそう聞いてきた。
「はい、どうぞ」
「雄大くんも一緒に浴びる?」
冗談めいた笑みでのセリフも、お決まりだった。
山吹くんと違い、僕は1日に1度しか体を洗う習慣がない。
だから今は浴びないと、これまたお決まりの返事をしている。
しかし…
「一緒に浴びていいですか?」
山吹くんの顔から笑みが消えた。
それから驚きの表情で目が丸くなる。
「…え?」
どうしてこんな表情を向けられるか、一瞬わからなかった。
しかし、すぐ自分の答えを思い出して理解した。
「あ、いえ、さっきのは…」
慌てて否定するが、もう遅かった。
「じゃあ一緒に浴びよ!」
無邪気な言動と共にシャワー室へ連行された。
*****
シャワーのお湯が山吹くんの体をなぞって排水口に流れていく。
湯船の中から、その様子を眺めていた。
大きな掌に太くしなやかな長い指。
筋肉が乗った太く男らしい腕。
厚い胸板に広い背中。
(いつもこの体に抱かれているのか)
山吹くんの皮膚の感触が思い出される。
不意に脳内で再生された官能の時間が、体を火照らせた。
熱を少しでも逃したくて、彫刻のような肢体から視線を離そうとした時だ。
山吹くんの局部の肉が、上を向き始めているのが見えた。
「…山吹くん」
「どうかした?」
「あの…それ」
自立途中の物体を目線で示すと、山吹くんの頬がほんのりと紅潮した。
「こうなるに決まってるじゃん…一緒にシャワー浴びるとか言うし、雄大くん裸だし、さっきからじっと見てくるし」
眼を泳がせながらポツリポツリと言葉を溢す。
「雄大くんに対してだけだよ…こんなになるのも、こんな余裕なくなるのも」
目線を外すと、山吹くんは蛇口を回してシャワーの水圧を上げた。
羞恥に悶える様子が無性に愛おしく感じた。
その感情は僕の体も動かした。
「山吹くん」
「えっ、うわっ!」
立ち上がって湯船から出ると、逞しい体に腕を回して抱き付いた。
体幹を僅かに崩しながらも、山吹くんは僕の体重を受け止める。
「ちょっ、どうしたの…何か今日、積極的」
「…嫌い、ですか?」
「ううん…」
流水音に混ざって僅かに聞こえる鼓動が乱れたリズムを刻み始めた。
「ありがとう、ございます」
大胆な行動をしている意識はあるが、不思議と恥ずかしさはなかった。
火照りと熱気で思考が鈍くなったのを幸いに、僕はまた行動を起こした。
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