真夏の夜の映写室 (Page 3)
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「っ…ん…はぁっ…翔くん…もっと、ゆっくり…」
「ごめん、なさい…でも、止まらないよ」
思いが通じ合った嬉しさと、ずっと好きだった人に触れられる喜びで気持ちが高ぶりすぎて性急に彼自身を扱く俺に制止の声を上げる紫苑さん。
困ったように眉尻を下げた顔が可愛くて、早く繋がりたくて先走りを指に絡めてついに紫苑さんの中に指を侵入させた。
熱くうねるその中は心地よく、その感触を楽しむように何度も指を動かす。
指の律動を繰り返していると、解れてくるのがわかった。
指を増やしてさらに内壁を擦り上げていると、紫苑さんが俺にすがってくる。
「あっ…ぁ、はぁッ…翔、く…っ…もう…」
「大丈夫だよ、紫苑さんがイくとこ見せて」
敏感に反応を示していた場所を執拗(しつよう)に指の腹で触れていたら、ついに腰を震わせて達してしまった。
「紫苑さん…可愛い…ごめんなさい、もう俺…本当に我慢できないや……っ…」
急く心が現れるような手つきで俺のモノを取り出し、紫苑さんの後孔に幾度か擦り付けてから腰を押し進めた。
「っ、あ…ぁぁッ…熱い…っ…」
「っく……紫苑さんの、中も…すごいあったかいよ…っ…」
挿入しただけで下肢から脳にまで駆け巡るような刺激を受け、歯を食いしばってその感覚に耐えた。
いくら初めてだからって、すぐ出してしまうなんて、そんな恥ずかしいところは見せられない。
ゆっくり慎重に腰を動かし、時折奥を軽く小突く。
いいところに当たるたび、俺をきつく締め付けてきて気持ちよくなってくれているのがわかって嬉しい。
古くてエアコンの効きが悪い狭い部屋の中、汗だくになりながら少しずつ律動を早め、何度も腰を打ち付けた。
「あァっ…は、ぁッ…しょ、翔…く…っ…」
「紫苑、さん…っ…一緒に、イこ…ッ…!」
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薄暗い小箱のような空間の中、俺と紫苑さんの荒い呼吸がこだまする。
微かに聞こえるシアター内の音声が子守歌のようで、少しまどろんでしまう。
「…翔くん、もうすぐ上映が終わるよ」
「そうですね…スタンバイしないと」
そう言いながらも、どちらも動く力があまり残っていない。
「これからもよろしくね、翔くん」
「…!っ、こちらこそ」
紫苑さんに覆い被さったままでいる俺の頭を優しく撫でて、上映室から見送ってくれた。
上映を終えたシアターのドアを開くと、暗い部屋に一気に光が射した。
今の俺の心のように。
Fin.
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