天使は理性を崩したい! (Page 2)
いやいやいや、理性ガンバレッ!
「あー、っと…そうだなぁ…。やめといたほうがいいんじゃない、か?」
「…んー? なんでぇ?」
「なんで!? そ、そうだなぁ…。せ、性格が悪いって…ひゃぃっ!?」
葵の膝がグリッと股間にあたる。
たってることがバレ…た?
「んー、性格かぁ…。美人にはぁ、ストイックが多いだけでぇ…それで性格が悪いとは限らないよなぁ」
「っそ、そうだねっ!」
腰を持ち上げ、後ろに後退しようとする。
でも葵の腰が俺の太ももに完全に落ちた。
重みがかかって簡単には逃げられない。
「でも性格かぁ、あいつは悪いからなぁ…」
「…仲いいの?」
「んー。実家がお隣なんですよー。幼馴染ってやつぅ? あいつ、ほんとに性格わりぃの」
ふにゃりと笑顔を見せる葵に、脳内で何かがはちきれた。
──ダンッ。
葵を床に組み敷き、両手首をぎゅっと握る。
「か、ず…ッ」
葵の唇に自分の唇を重ねる。
あぁ、想像していたより柔らかい。
やわらか…ッ!?
勢いよく起き上がり、床に寝転がる葵を見下ろす。
葵は両目を見開きながら、自分の唇に触れていた。
「俺、ごめん。ごめんっ!」
謝ったって戻らない。
長年かけて関係を築いたのに、終わるのはこんなにもあっさりだ。
「あーあ、アイツの勝ちかよ」
「…葵?」
葵は髪をかき回しながら起き上がって、俺を真っ直ぐ見ながらいたずらに笑う。
「一樹って理性強いね」
「へ…?」
「俺を襲いたいって顔してんのに、いっこうに襲ってこねぇんだもん」
バレてた!?
「そしたらさぁ『告白するから、気があるように一樹に相談してみろ』って言われたわけよ。あ、例のミスの子ね? 性格悪い幼馴染の女のことね?」
「…え!?」
「そんなんでぇ? とか思ったけど、効果てきめんじゃん」
ちょ、ちょっと待って。考えろ。
葵が告白されたってのは、ミスの子との自作自演?
それも俺の理性を崩すためだけに?
「さぁ、ヘタレの一樹くん。俺を抱きますか?」
「…だ、かない」
「ふーん?」
だってそれじゃあ、体しか手に入らない。
俺の理性を崩すことを楽しんだゲームでしかないだろ。
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