枯れ専青年と初老の恋
初老の俺は、枯れ専の青年に恋をした。しかし、“若すぎる”と彼は俺へ、決して振り向くことはない。しかし、チャンスを易々と逃すほどに人生経験がないわけでもない俺は…。枯れ専の青年に焦点を当てた、切ない三角関係の恋模様。
「僕は、ただただ好きだったんです」
そう言って顔で手で隠す彼を、俺は優しく抱きしめるしかなかった。
*****
「いいんです、いいんです。抱いて、抱いてください」
彼に圧倒されるまま、彼のヒクつく蜜部に俺自身をあてがって、入口をこじ開け熱いナカへと侵入していく。
「ッん」
圧迫感に身をのけぞらし目を見開く彼に、心の中で「ごめん」とつぶやく。
そりゃそうだ、俺は風俗に行っても、顎が外れると嫌がられるくらいのでかい“ブツ”をもった男だ。
「ぅ…ッぐ」
無理矢理に、ナカへナカへと侵入していく。
出るはずの場所へ挿入し、快楽を求めるこの行為が正しいかはわからない。
しかし、俺は彼が好きだった。
4年。4年もだ。
彼は今になってなぜ、俺との行為に気が向いたのか。
それはただの気まぐれで寂しさを埋めるだけで…。
間男、か。
―――意味があるのかはわからない。
「んっ…あ、いいです…よ」
―――ああ、まるでイモムシだ。
彼の前でもじもじと惨めにもがくだけの。
自分が羽化する想像をしながら彼のナカへ入っていく。
彼と身体を重ねれば、俺はサナギになり、成虫へと進化できると思っていた。
俺の心がひ弱なことは、彼を通したって変わらないだろう。
「ッん、ぅ…っ」
締まりのキツイ入口、そしてナカ。
『教授は、僕のこと好きですか?』
『僕さ、本当は若い人は相手にしないんだけど…』
いつも、軽くかわして翻弄してくる。
頭の中でぐるぐると、彼の普段の余裕の顔がビデオテープのように巻き戻されては再生される。
「ッぁっ、あ」
彼の喘いでいる声が俺を現実に引き戻す。
俺の目の前で喘いでいる彼と、俺の記憶の中の彼は、同一なんだ―――。
ミチミチで動きにくかった腰も、緩く内壁をこすってやれば、ローションとまじった腸液で円滑になった。
「ぅっ、ぅっ、ウッ」
突き刺した肉棒で何度も腰を打ち付ける。
先端が奥に当たっている。
彼の恋人は先月亡くなった。
『僕は、ただただ好きだったんです』
そう言って顔で手で隠す彼を、俺は優しく抱きしめるしかなかった。
だから、今の“この行為”は仕方がない。
彼の恋人は90歳だった。
『優しくて暖かい、陽だまりみたいな人でした』
ポツリ、漏らしたあの声。
あの時の、切なく柔らかい表情をした線の細い男は、今、俺のイチモツを飲み込んで、喘いでいる。
必死ですがる様に手を伸ばして、涙で顔を濡らして喘いでいる。
「んっ、あっきょ、きょうじゅ」
伏した長いまつ毛が塗れている。
―――俺はお前の教授じゃない。
「ッぁ―――そッ、それ、だめぇっ」
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