先輩、好きです。 (Page 2)

「…あの」

「ん?」

「…先輩のこと、なんですけど」

「先輩?」

 それは誰のなんのことだろうか。

 いまいちつかめない内容に聞き返せば、紫月は赤くした顔で俺を真っ直ぐ見る。

「きょ、響也さんのことが好きなんです!」

「それは…」

「も、もちろん恋愛の意味で…」

「ああ…そうか」

 真面目に受け取るべきだろうか。

 紫月はイタズラでこんなことを言う子ではないし、ちゃんと返事をするべきだろう。

「紫月、悪いが…」

「響也さん、返事には気を付けてください!」

「は?」

 急に脅すようなことを言われ、飲み干したビールのグラスをテーブルに置く。

 紫月を見るとはっとしたように、にっこりと微笑まれ、『飲みましょうか』といつもの調子で言われた。

「いや、紫月…」

「返事は後でいいですよ。今はこの場を楽しみましょう」

「…ああ」

 どこか変わった紫月の雰囲気に頭を悩ませるが、いつもと変わらない笑顔と口調なので特に気にしなかった。

*****

 気にしなかったのがマズかった。

 酒に潰れたらしい俺が意識を取り戻したのは、見知らぬホテルのベッドの上。

 それも紫月が俺の上に乗っている状態で…。

「ちょっと、まっ…」

「ダメ、ですよ。先輩、ほら、ここも…集中、して、くださいっ」

 紫月の中に挿入される俺のペニスが、ぐちゃぐちゃの液をまとって卑猥な音をたてている。

「ああっ、…きもち、気持ちいですっ」

「くっ…」

 突然、ムズムズとする感覚がやってきて、俺のペニスが紫月の中で震えた。

「ああっ」

 紫月の声が響き、彼のペニスからは白濁の液が勢いよく飛ぶ。

 俺のペニスをくわえこんだまま、紫月は腰を落とした。

 額から頬に伝った汗を俺の身体に滴らせながら、乱れた呼吸を繰り返す。

「紫月…」

 紫月の頬に触れると、彼の身体がビクリと震えた。

「…先輩、俺」

「なんでこんなことしたんだ?」

「…ごめんなさい」

「ごめんじゃなくて…」

 顔をあげさせると、紫月は静かに涙を流して唇をきつく結んだ。

「紫月」

 震える唇を開いて、紫月はゆっくりと声を出す。

「好きって…言ったじゃないですか」

「ああ、聞いたよ。でもこんなやり方は…」

「だって俺には時間がなかったから!」

 声を張り上げた紫月は、俺の首に腕を回して抱き着いた。

 縁談を断れない。と言っていたことを思いだし、俺よりも小さな紫月の小さな背中を抱きよせる。

「そうやって優しくするから…好きになるんです」

 紫月は俺をまたベッドに押し倒した。

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