先輩、好きです。 (Page 3)
「ん…」
泣き顔のまま、腰をあげて元気のない俺のペニスを引き抜く。
ソレをしごき始めたのを見たとき、シーツに赤い色がついているのが目に入った。
「どこかケガしたのか?」
「ッ…いえ、どこも」
否定をした紫月だったが、俺の太ももにも同じ色がついていて、彼の太ももにもその色が伝っていた。
まさか…と、起き上がって紫月の腰を抱き寄せる。
「せんぱ──痛ッ」
お尻を突き出させ、アナルを見れば予想通り。
無理やり挿入したことがわかり、その中に子種を出してしまったのだと思うと罪悪感が込みあげた。
「ごめんな、紫月」
「なんで先輩が謝るんですか! いいから続けて…」
「ダメだ」
「だって俺には時間がッ!」
続けようと起き上がった紫月を仰向けに寝かせた。
両手をベッドで押さえつけ、涙を流す紫月の唇にキスを落とす。
触れるだけのキスだったが、紫月は静かになって身体から力を抜いた。
「なんで…」
「大丈夫だから、やめなさい」
「でもッ…」
「いいから」
「だって今日を逃したら俺は結婚するし、こんなチャンス二度と…!」
こんな無謀なことをするくらい俺のことが好きなのだろう。
自分が痛い思いをしてもいいと思えるくらいに…。
でもそれじゃあ俺の立場がないじゃないか。
「俺は紫月と同じ『好き』になれるかはわからない」
「聞きたくない!」
「いいから聞け」
「ヤダッ!」
そっぽを向く彼に、俺はそっと息を吐きながら伝えた。
「これで終わりにはしないから。ここが治ったらもう一度だけしよう」
「そう言って終わらせたいんだろ! 俺だって日曜には…」
「そんなに結婚したいのか?」
「したくない! でも、部長に逆らうなんてできない!」
したくないなら安心だ。
安心して、彼の縁談は破棄にできる。
「とにかく俺を信じろ」
「そんなの…」
「なんなら日曜日までウチにいるか?」
「え…?」
「だから安心して休め」
*****
土曜日の午前中のうちに、俺は紫月を連れて家に帰った。
紫月は無理やりの行為のせいで熱をあげ、その日はずっと寝込んでいた。
その間に縁談を強要する例の部長を、社長である父に報告をすれば『適切に対処する』と連絡を受けて──。
*****
日曜日の早朝、スマホに電話が入った紫月は不安気に通話に出た。
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