先輩、好きです。 (Page 4)
「…はい。おはようございます、部長」
コトンッ…と淹れたてのコーヒーを注いだマグカップを、通話をする紫月の前に置く。
向かいの席に腰を落とし、コーヒーをすすりながら電話が終わるのを待った。
数分後、通話が終わって紫月が『信じられない』とでも言いたげな顔で俺を見る。
「縁談が…なくなりました」
「よかったな」
「謝られたし…。でも、どうして急に…」
「さあな。コーヒー淹れなおすか?」
「いえ! このままでいただきます」
紫月は本当に嬉しそうにして、コーヒーをすすりながら俺をチラチラ見ては照れくさそうに視線を逸らす。
その姿が本当に愛らしい。
ずっとここにいてくれてもいいのに。
…そう思った自分にハッとした。
彼の言う『好き』と同じになるのは近いのかも…と、ふと思う。
「あの、先輩。好き…です」
「知ってる」
「もう聞き流してるでしょ」
「してないって」
「傷が治ったら絶対に抱いてくださいね」
「ああ」
*****
それから二週間が経過した。
バタバタとしていた仕事も終え、俺と紫月はあのホテルにもう一度やってきた。
*****
「よし、綺麗に治ったな」
バスローブの隙間から引き締まるお尻をわしづかみ、淡い桃色の秘部をまじまじと眺める。
「恥ずかしい…」
「自分で腰振ってたくせになに言ってんだよ」
「それは…終わったことですし」
「そうかそうか」
紫月のお尻から手を離すと、彼はむくりと起き上がってペタンッとベッドに腰を下ろした。
そして不安そうに上目遣いで俺を見上げる。
「…本当に俺を抱けるんですか?」
「ちゃんと勉強はした」
「そうじゃなくて…」
「紫月のことは抱けるよ。あれからお前のことばっかり考えてるし」
「…え?」
紫月の頬を撫で、ちゅっとリップ音をたてて唇を重ねる。
頬を撫でていた手を後頭部に滑らせ、口づけを深めると彼は驚いたように抵抗を見せた。
「んんっ」
悪さをする手首をつかみながら目を開けると、バチッと目があって紫月の顔があのときと同じように赤くなる。
それが可愛らしくて、俺はまぶたを落としながら彼の身体を押し倒した。
「んっ、ふぅ…んあぅ」
舌を絡めれば唾液のピチャピチュ…といういやらしい音が響く。
「ひぅ…んん、しぇんぱ…ぅん」
そのたびに紫月の身体が反応し、甘い声が唇の隙間からあふれた。
紫月の唇はとろけるように甘く、絡まる舌は熱が冷めることを知らない。
甘い声がこぼれるたびに、もっと甘く溶かしてやりたいという気持ちがあふれ出た。
「んあ…はぁ、んっ」
次に首筋に唇を落とし、バスローブをゆっくりと脱がせる。
綺麗な肌が目の前に広がり、期待に下半身が反応した。
「…綺麗だな」
「ふ、普通です」
「ははっ、なんだそれは」
「き、緊張してるから! だってずっと好きだった先輩に…んんっ」
期待にとがる胸元に触れながら、いたずらに微笑む。
「『先輩』でいいのか?」
「ッ…、響也…さん」
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