箱庭へ続くキミの幸せ
夏鳴は隆紘に閉じ込められて生きていた。隆紘に教えられるまま快楽に溺れ、夏鳴の世界には隆紘しかいなかった。そんなある日、ある人から連絡が来る。身体の弱い彼女に子どもを託された夏鳴は、隆紘から逃げて子どもと二人暮らしをすることに…。数年後、子どもと幸せに暮らしていた夏鳴の前に隆紘が現れて──。
ローションでぐちゃぐちゃにほぐされたアナルを隆紘(たかひろ)の手が責める。
挿入する二本の指で広げながら、今か今かと期待にうずく秘部を愛でられた。
長い付き合いになっても、前戯を必ず丁寧に行う彼の手に俺はいつも翻弄されっぱなし。
毎日のように快楽を教えられ、毎日のようにこの箱庭で愛される。
「やだっ…そこ、そこぉ…」
前立腺を隆紘の指の腹が撫でて、俺の身体は弓なりに反った。
「あぅ、やら…やっ…ああっ」
「カナはここ好きだもんね」
「ちが…んんっ、もう、もう…」
いっこうに入れてくれない隆紘のペニスに触れる。
窮屈そうにスーツを押し上げるソレに触れただけで、彼は身体をビクリを震わせた。
「こら」
「だってぇ…おねが、い…もう我慢できな…」
「もっと慣らしてからね」
「それいっつもじゃん! お前と住み始めてから毎日、ずっとほとんど…俺、身体おかしくなって…、だからもう、もういれてよ!」
「……」
「隆紘!」
声をあげて懇願するけど、隆紘はにっこりと笑って俺の手を握った。
捕らえられた両手が隆紘の右手で頭上に押さえつけられる。そして左手はまた俺の身体を愛で始めた。
「あっ…もう、もう!」
「カナがなんと言おうとダメだよ」
「なんでッ…ひゃあっ」
グチグチとローションが音をたてる。
いやらしい音に耳をふさぎたくなるけど、隆紘の手がそれを許さない。
一人だけ裸になって、全部をさらけ出して快楽に溺れる。
それがどれだけ惨めでかっこ悪いことなのかを、隆紘が知らないわけがない。
「たかひろ、たか…ッ」
名前を連呼して懇願したとき、こつんっ…と隆紘がおでこ同士を軽くぶつけた。
「そんな風に甘えてもだーめ」
微笑む隆紘はアナルから抜いた指で俺のお腹を撫でて、首筋にキスを落とす。
「これじゃあまだ、足りないからね。もっともっとドロドロに、そしてもっともっとグチャグチャにならないと…カナはどこかに行っちゃうから」
「え…?」
ジュゥ…と首筋に吸い付く音がする。
ピリッとした痛みがやってくると、隆紘が今までにないくらいの低く甘い声でささやく。
「カナは俺だけのものだから、ね。俺以外を映しちゃダメだよ」
その残酷な言葉は、精神的にも、物理的にも俺を閉じ込めた。
俺を抱いては快楽に落として、甘い言葉で言いなりになるようにしつける。
何年も何年も、俺は隆紘以外を見ていない。
そして俺は彼以外を認識しなくなっていった。
『彼女』が俺に連絡をくれるまでは──。
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