調教カクテル
紳士的なバーのマスター・伸司に口説かれた光太郎。初夜は優しく甘いものだった。しかしこの日を境に、独占欲を露わに豹変していく伸司。ついには光太郎を自分好みに”調教”すると言い出して…。酒と媚薬の調教カクテルがウブな光太郎に襲いかかる!
「さっきのお客に、連絡先を聞かれていたね」
穏やかな声と裏腹に、瞳は狂気をはらんでいた。
「違うんです…マスター」
「その言い方はやめてよ。ふたりの時は名前で呼んで」
「し、伸司さん…」
「そう、いい子だね」
伸司は目を細めると、光太郎の唇を撫でた。
「ごめんなさい。でも俺ちゃんと断って…」
「しーっ」
言いかけた光太郎の口を、伸司の大きな手が塞ぐ。
指の隙間からほのかにタバコの香りがした。
「いい子は言い訳なんてしないよ?」
いかにも残念そうにため息をつきながら、伸司は時計に目をやった。
そして光太郎の腰を引き寄せると、
「今夜はもう店を閉めよう。君には調教が必要だ」
と不敵に笑った。
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光太郎が伸司に体を許したのは、まだ1度だけだ。
彼のバーで働き始めてすぐ、光太郎は伸司に口説かれた。
伸司は清潔感のある紳士で、40代らしい落ち着いた色気がある。
切れ長の奥二重に上品な口もと、顎はシャープで横顔が美しい。
伸司が目当てで店に通う客も少なくなかった。
「寝ても覚めても君のことを思ってしまうんだ。この責任をとってくれるかい?もし取れないって言うなら、この哀れな私に一夜思い出をくれないか…」
こんなに甘い言葉で伸司は迫ってきた。
光太郎はノンケだったが、好意を寄せられて悪い気はしなかった。
それに、まだ20歳になったばかりの若い肉体は性の好奇心に溢れている。
いざ覚悟を決めベッドに入ると、拍子抜けするほど抵抗感はなかった。
「男に抱かれるのは初めてなんだね?嬉しいよ。うんと優しく抱いてあげるね…」
伸司のセックスはとても紳士的だった。
とろけるような愛の言葉、くすぐったいほど優しい指使い。
アナルをほぐされる羞恥も、破瓜(はか)の痛みも、甘いキスをしていれば我慢できた。
経験したことのない官能的な一夜…。
そんな愛され方がずっと続くと光太郎は思っていた。
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