メイク・ラブ・クエスチョン? (Page 6)
湯船につかりながら、身体を洗う彼に問いかける。
「…俺様ちゃんってホモなの? 犯されてから?」
「あれ以来、男性とはしていない」
「それじゃあなん──」
その続きはシャーッ…とシャワーの音にかき消された。
だけど彼は泡を流しながら答えてくれる。
「獣のような目で見つめられれば誰だって気がつく」
「そんな目してた?」
「していた。それに恩人には報いるだろ」
俺様ちゃんはメイクを落とした顔を向けて、浴槽のふちに触れながら顔を近づけた。
そして相変わらず触れるだけの可愛いキスをくれる。
テクニックがないキスでも悪くないと思うのは、なぜなのか…。
「ねえ、俺様ちゃん」
「なんだ、それは」
彼はその呼び名に呆れながら離れると、今度はシャンプーを手にとる。
「ねぇ、あんたの名前教えてよ」
そういうと俺様ちゃんは手を止めて俺を見つめる。
「名乗っただろ」
「は? いつ?」
俺様ちゃんは泡立てたシャンプーで髪の毛を洗いながら名乗った。
「いや、いい。俺の名前は『七草さくら』だ」
「ははっ…名前まで女みてぇだな」
「よく言われる」
苦笑を浮かべるさくらの背中に手を伸ばす。
身体中につけたキスマークは背中だけでも無数だ。
出会ったばかりの相手にこんな『欲』が生まれるなんて。
「唯」
背中に指先が触れる寸前で名前を呼ばれて手が止まる。
「なに?」
キスマークに触れようとしていた手を引っ込めて、さくらに視線を戻せば前髪をいじりながら彼は問いかけてくる。
「一目ぼれって信じるか?」
その問いかけに、パズルのピースがはまるような感覚を覚える。
「え…?」
俺を向いた彼は前髪をかきあげながら、照れ臭そうにくしゃりと笑った。
Fin.
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