バッテリー、再会の淫夜
ピッチャーの瀬尾とキャッチャーの新堂は甲子園を目指すバッテリーだった。17年後、人気ニュースキャスターになった新堂に瀬尾が近く。瀬尾は三流ゴシップ誌のパパラッチで、新堂のスキャンダルを握っていた。スキャンダルの写真と交換に、自らの体を差し出す新堂。この再会は序章か、それとも終章か…?
「こんな形で再会するとは思わなかったな」
新堂誠司はベッドに腰かけるとネクタイに手をかけた。
「あー待って。そのスーツって今日の放送で着てたやつ?」
すでに下着姿になっている瀬尾が、新堂を見下ろして言った。
新堂は夜の報道番組の人気キャスターだ。
甘いマスクで局アナ時代はアイドル的な人気を誇った。
30代でフリーに転身してからはインテリジェンスな魅力が引き出され、より幅広い年齢層に支持されている。
この日も生放送を終え、心身ともにクタクタの状態で帰宅した。
まさか、マンションの下で瀬尾が待ち伏せているとは夢にも思わなかった。
「そうだけど」
「じゃあ脱ぐなよ。メガネもかけたまま、しゃぶってもらおうかな」
新堂は嫌悪感に目に細めてから、瀬尾の股間を見た。
グレーのボクサーパンツはペニスの形がくっきりを浮かび上がり、先端に恥ずかし気もなくシミを作っている。
新堂はベッドから降りて床を膝を立てると、瀬尾の下着に手を伸ばした。
「ははっ…人気ニュースキャスターが三流ゴシップ誌のパパラッチに跪いてやんの」
瀬尾の特徴的な低く掠れた声が降ってくる。
新堂はふと、ユニフォーム姿の瀬尾を思い出した。
「あれから17年か…」
瀬尾隼人とは幼馴染みだった。
出会いは少年野球チームで、すぐにバッテリーを組んだ。
瀬尾がピッチャー、新堂がキャッチャーだ。
高校も同じ強豪校に進学し、一緒に甲子園を目指した。
しかし2人の夢が叶うことはなく、瀬尾は野球推薦で大学へ、新堂は野球を辞めてカナダへ留学した。
瀬尾から連絡が途絶えたのは、それからすぐだった。
人伝いに、瀬尾が事故に遭って野球を辞めた聞いたのは、もっと後のことだった。
「…おい、新堂?」
「いや、なんでもない。それより本当に持ってきてるんだだろうな?」
瀬尾は脱ぎ捨てたジーンズを足で手繰り寄せると、ポケットからUSBメモリを出した。
「コピーはないよ。幼馴染みのよしみだ」
新堂は瀬尾の手からUSBメモリを奪い取ると、水の入ったコップの中に沈めた。
「もったいねぇな。よく撮れてたのに、お前らのハメ撮り」
睨み付ける新堂に、瀬尾はカメラを構える動作をしてみせた。
「しかしお前には驚かされたよ。高校の時は男好きだなんて、これっぽっちも匂わせてなかったじゃん」
「あの頃はそういうのに興味がなかっただけだ。俺もお前も野球しか見えてなかっただろ」
「俺もお前も…か」
そう呟くと、瀬尾が節張った小麦色の手で、新堂の頬を撫でた。
「写真の男、彼氏?」
「違う。最初から一晩限りのつもりだった」
「あらら。だから恨み買って週刊誌にタレ込まれるんだよ。他にも心当たりあるなら気をつけな」
瀬尾の親指が唇をなぞる。
かつて瀬尾の手のひらにあった投手のマメは、悲しいくらい綺麗に消えていた。
17年という歳月は、瀬尾をすっかり疲れた中年男性に変えてしまったようだ。
伸びっぱなしの髪に無精ひげ。
パパラッチという仕事柄だろうか、肘から下と首元が特に日焼けしている。
それでも長年野球で鍛え上げられた肉体を失ったわけではなく、厚みのある胸板はそのままだし、腹筋もうっすらと割れていた。
下半身の筋肉量は相変わらずで、盛り上がった膝上の筋肉は現役時代とさほど変わらなかった。
やつれた中年男の顔を乗せた彫刻のような雄の肉体…。
その官能的なギャップに、不覚にも新堂はそそられはじめていた。
よい!
ノンケ襲い攻め新鮮だなーと思いながら読んでたら最後泣いた(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
匿名 さん 2020年10月8日