今日も明日も、君の香り (Page 5)
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甘い香りで目が覚めた。
重い頭を横にずらすと、俺が着ていた服がきちんとたたまれていた。洗い立ての柔らかさと香りが心地よくて、そのまま目をつむる。
手も足も、体じゅうが重い。
「先輩。お腹すいてませんか?」
堀内が洗濯ものの横から顔を見せる。
「…すいた」
自分の声がガラガラでびっくりした。
「すいたけど…、動けない」
「じゃあ、デリバリーしますね。何食べます?」
やけにすっきりと元気な堀内に少し腹が立って、耳の横の髪を引っ張る。
「堀内に任せる。…まずいもの食わせたら許さないからな」
「大丈夫です。先輩の好物はリサーチ済みです」
堀内はにっこりと笑い、スマートフォンを手にして立ち上がった。
俺をこんなにしたのはお前だぞ! 3回もやるなんて…!
すっきりしない気持ちと恥ずかしさでシーツに顔を埋める。
シーツからも甘い香りがした。
堀内の香りだ。
香りを胸いっぱいに吸い込む。
お前の香り、悪くない。
好きだよ。
Fin.
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