犬の恩返し (Page 2)
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原則的にアパートはペット禁止だが、よほどの理由がある場合のみ大家に話せば他の住人に迷惑をかけないという誓約書を書かされた上で飼うことはできる…という話を聞いてはいたので、部屋に戻る前に大家に話を通しに行った。
すると大家は案の定、例の誓約書を俺に書かせたうえで「くれぐれもトラブルにならないようにしっかりしつけて下さいね」と釘をさしてきた。
(だから、飼うんじゃねぇっつうの)
心の中でそんなことをぼやきながら、俺は部屋の鍵を開けると大人しく後ろをついてきてた犬を中に入れた。
「狭いとか文句は言うなよ?」
うろんげに犬を見ながら俺はそう言ったが、犬は気にした様子を見せずにトコトコと部屋に入るとリラックスしたように伏せ状態で目を閉じた。
「どうやら気に入ったみたいだな」
(下手に暴れられたり吠えられたらどうしようかと思ったが、えらい利口な犬だな)
きっと元の飼い主のしつけがよかったのが伺える犬に内心安堵の息を吐くと、先ほどスーパーで買って来たドッグフードとミルクを犬の前に出した。
「俺は仕事で疲れたからシャワーを浴びて飯食って寝る。だからお前もそれ食ったら大人しく寝ろよ」
俺がそう言うと、まるでその言葉がわかっているかのように犬は「ワン!」と吠えてから行儀よくエサを食べ始めた。
(これだけ利口な犬なら、きっとすぐに飼い手も見つかるだろうな)
そんな事を考えながら、俺はバスルームに入ったのだった。
そんな俺の後ろ姿を犬がジッと見つめていることにも気付かずに…
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翌日。
まだアラームが鳴っていない早朝、俺は何やら下半身に感じる違和感に身じろいだ。
(なんだ?なんかやけに疼いているような…)
そんなことを寝惚けた頭で考えながら目を開けると、目の前の光景にあぜんとした。
「なっ…なっ…」
「あ、おはようございます、ご主人様」
そう。俺の目の前にいたのは見知らぬ青年…しかもかなりの美形だ。
茶色いサラサラの髪に、同じ色の大きなクリクリとした目。そして形の良い小鼻とピンク色の唇。
アイドルみたいな容姿はまさに女受けがよさそうだ。
それはいい…いや、よくはないが、問題はそいつが俺の部屋に不法侵入しているということと…そして一番の問題は俺のズボンとパンツをずり下げて俺のペニスを奉仕していることだ。
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