狂い咲くのは僕のストーカー (Page 2)

「あんっ…やっあああっ」

 グチグチとお腹の中を太くて長い指にかき混ぜられる。

「やだっ、ねえ…まっ…あうぅ」

 卑猥な音と口からこぼれる男の喘ぎ声が深夜のオフィスに響いた。

口を手で塞いでもそれ以上の快感を与えられ喘ぎ声が口の端から溢れ、逃げることができずに快楽に身を委ねる。

「はぁ…。夢にまで見た先輩だ…」

 アナルから指を抜かれ、下半身に視線を落とす。

 すると矢代が僕の太ももを両手で開きながら秘部へと顔を近づけた。

「やし、矢代…?」

「ここ、すげぇヒクヒクしてますねぇ…」

「いや、見んっ…う…うぅ…」

 ピチャリ…と熱くてぬるっとしたものが秘部へと触れる。

 チロチロとうごめく舌の先は入り口をなぞり、ツプツプ…とゆっくり中に侵入してきた。

「んんっ! なん、で…、そん、なとこ…あぅ…」

「んー。んっ、先輩が好きだからですよ」

「はぅ! あ、あうぅ…」

 中に息を吹きかけるように近くで話をする矢代は、指で秘部を開きながらもう一度舌を差し込んだ。

 指の動きと舌の動きに身体がビクビクと反応する。

 僕の身体は熱に浮かされ、たかぶる男のソレは先走りをこぼしながらギンギンに張り詰める。

 絶頂を迎えられない苦しさともどかしさ。

 だけど理性が恥を捨ててくれない。

「も、もう…やだ…」

「何がです?」

「僕は、もう…こんな、ことしてなっ…いのに…!」

*****

 昔はしていた。矢代と出会った大学の頃は特に。

 セックスは普通に好きだったし、セフレがいるのも当たり前だった。

 教授や先輩に身体を開けば、いいこともあったし可愛がってくれる。

 …そんな僕を気に食わない人がたくさんいた。

 だから。

 大学の卒業式の日に、僕は僕を恨む全員に犯された。

*****

「…知ってますよ」

「え…?」

 矢代は下半身から顔をあげて僕に覆いかぶさった。

「あんたがもう遊んでないことくらい知ってます」

「…じゃあなんでこんなこと」

「言ったじゃないですか」

 矢代は僕に顔を近づけて綺麗な笑顔を浮かべた。

「一ノ瀬先輩のことが好きだからですよ」

*****

 矢代はあの時もこうやって笑っていた。

 泣きそうな嬉しそうな、言葉にできない綺麗な笑顔。

──『先輩、好きです。俺、本当に先輩のことが──』

 そう言って告白してきた彼に僕は答えられなかった。

 たくさんの男に犯されたあとの告白に、人間不信になっていた僕は彼すらも恐ろしく見えていて…。

 しかも告白してきたのは、僕をいつも追いかけていたストーカー。

 ──『僕のことが好きなら僕を探して捕まえてみてよ』

*****

 それが今、現実になって矢代は僕を捕まえている。

 あんな適当な言葉を有言実行して、僕を犯す矢代。

「…そんなに僕のこと」

「好きですよ。狂うほどに愛してます」

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