後輩、坂下くんの最恐の愛 (Page 2)

 淡いオレンジ色の常夜灯が視界に滲む。

 過ごしなれた天井が揺らめいた。

 今日も逃げることができず、坂下が家に押しかけてきてなだれ込むようにセックス。

 男二人を支える安物のソファーがギシギシと鳴き、今にも壊れるんじゃないかと意識がそれた。

 でもそのスキを坂下は見逃さない。

「んあっ!」

 太くて熱い坂下のペニスが俺の中を犯し、押し殺していた甘い声が口から溢れた。

 グチュグチュと二度も出した精液を泡立たせるように、坂下の腰がいやらしく動く。

「んんんっ」

「さっきみたいに聞かせてくださいよ」

 耳元でささやく坂下に、俺は声を押し殺しながら彼をにらみつけた。

 抱かれて快楽を覚えても、俺にだって譲れないプライドというものがある。

 脅されても絶対に。

「んっ、ふぅ、う、ん」

 腕で口元をふさぎ、唇をきゅっと結ぶ。

「強情だなぁ…」

 なんと言われてもこれだけは許せない。

 俺は坂下に限ってはネコだが、本来はオスを食らうタチだ。

 『喘ぎ声』なんて許せるわけがない。

 組み敷いている子が喘ぐのはとても愛らしいが、自分が喘ぐとなると話は違う。

 いくら今はネコでも。

「先輩、声を聞かせて?」

 坂下は動くのをやめ、俺を起き上がらせた。

 乱暴にして喘がせるのかと思ったが、ただ抱きしめてきたのを確認し口を開く。

「…ヤダ」

「なんでです?」

「べつに理由なんてねーよ。つーか早くしろ。早く終わらせてくれ」

「…そうですねぇ。先輩があんあん鳴いてくれたら考えます」

「なっ…ひうっ」

 首筋をベロリと舐められ、ゾワゾワと悪寒が走る。

 嫌な予感がしてならない。

 坂下は下半身を使わず、ただ俺の首筋や頬にキスを落とす。

 それが妙に怖くて、距離をとろうと両手を伸ばそうとしたとき──。

「え?」

 ハッと気づいてももう遅い。

 背後を向けば、両手が布で拘束されほどくことができなかった。

「なんで…ッ」

「早くこんなこと終わらせたいんでしょ?」

「ッ…」

「先輩は恥ずかしがり屋だから俺が手伝ってあげようかなって」

 ちゅっ、と音をたてながら首筋にキスが落ちる。

「覚悟はいい?」

「ダメだ! 待て、こんなの、こんな…!」

 だけど俺の気持ちなどお構いなしに、坂下はにっこりと微笑んだ。

「タイムオーバーです」

 笑顔を向けられるのとほぼ同時。

 鷲掴みされたお尻を勢いよく落とされる。

「ひゅっ…ッ」

 空気が旋風のように喉を通り、せき込んだのもつかの間。

 腰を打つスピードが速まり、上下に身体が大きく揺れる。

 お腹の中に入る異物が腸への扉をノックし、頭が真っ白になるほどの快楽を与えられた。

 そして俺の口からは坂下の念願通りに甘美な喘ぎ声があふれ出す。

「はぁああんっ、ああっ、あっ、んあっ」

「先輩、えっろ」

「んあっ、ああっ、やだぁっ…も、もうやだああぁ」

「なんでです? こんなに気持ちいいのに」

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