後輩、坂下くんの最恐の愛 (Page 4)

「先輩、なに考えてんの?」

「なにって?」

「シてるとき、気がそれてたでしょ」

「それてた? あぁ、考えごとしてただけ」

 そのとき、ビリッと空気が張り詰めるくらい嫌な気配がした。

 視線をあげれば、坂下が冷たい目で俺を見下ろす。

「へえ? 俺といんのに考えごと? もしかして他の男の? まぁ、今日も終業後に逃げようとしていましたしね」

「お前のことだよ」

 そう言うと坂下の眉がピクリとあがった。

「…は? そんな嘘で俺が…」

「嘘じゃない。お前のコレが俺の中に入ってんだなーって思っただけ。お前の咥えてるだけで興奮したし」

 チュッ…と元気のない坂下のペニスにキスをする。

 それだけでピクリと反応し、可愛いらしい。

 あんなに怖くてムカつく奴だったのに、たった数時間で俺はコイツのことを『可愛い』と思えるようになったらしい。

 不思議なこともあるものだ。

 コイツだけはないと思っていたのに、ノンケに恋したら負けなのに──

「三城先輩、好きです」

「…知ってる」

「先輩も好きでしょ?」

「は…?」

 坂下は俺の両手首を縛る布をほどく。

 そしてべったりと顔につく精液をタオルで拭いながら微笑んだ。

「先輩、俺の愛は重いから安心して。男を好きになったのは初めてだけどちゃんと好きだから」

「重いのは安心する要素にならん。それにノンケはみんな同じこと…」

「大丈夫だよ、先輩」

 そう言って坂下は俺の頬にキスを落とす。

「ほら見て」

 そして部屋の天井の角を指さした。

 その指先を辿ると、そこにはキラリと光る小型のナニか。

「え」

 まさか、と思っても遅い。

「言ったでしょ? 俺の愛は重いから、安心してね」

「監視カメラを置く奴にどう安心しろってんだよ!」

「大丈夫ですよ。ちゃんと全部屋に完備していますので」

 爽やかな笑顔を向ける坂下に、俺は密かに不安を抱えた。

 本当にコイツを好きになってもいいのか、と。

「まぁ、監視カメラがどうしても嫌って言うなら解決策はありますけど…」

「どうせロクなことじゃないんだろ」

「そんなことないですよー。俺の家で同棲するだけですから」

 そうなったら軟禁もしくは…、監禁決定だ。

Fin.

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