ヤンキーくんと優等生 (Page 2)
「かわいいなって、思ったんだよ」
「……え?」
「最初見かけた時、なんか地味なやついるな~としか思ってなかったんだけどさ。よく見たら本当にかわいい顔してるなって。なんでそんなダサい眼鏡してるんだよ、もったいないな……とか、話したこともないのに勝手に考えててさ。気づいたら声かけてた」
俺、考えるより先に動いちゃうタイプだから。祐くんはそう言って照れくさそうに頬をかいた。
「お前こそ、こんな俺に話しかけられて嫌じゃなかった?こんなにピアス開けてるけど」
彼はちょっと伸びた髪をかき上げて、じゃーんと両耳についた銀のピアスを見せてくる。おびただしい量のそれだけれど、十字架だったりチェーンで繋がっていたりするそれはどれも個性的で、彼に似合っていて素敵だ。
「最初は怖かったけど……でも、祐くんすごく優しいから、すぐ好きになったよ」
「はは、お前ちょろいだろ。だまされないように気をつけろよ」
「だまされるのは、祐くんにだけだよ」
言えば、祐くんはさっきまでの笑顔をちょっと崩して、視線を地面に落としてしまった。金髪の隙間から、ちょっとだけ赤くなった耳が見える。……もしかして、照れてるの?
「……お前さあ、本当にかわいいことばっかり言うよな」
「え?」
「なんでもねぇよ」
祐くんはやっぱりちょっと照れた様子で、無言のまま最後の一口を口に押し込んだ。そんな姿を見ているとなぜか僕まで恥ずかしくなってしまって。僕もあわててハンバーガーを押し込みうつむいた。
フライドポテトを食べ終えコーラも飲み切ったところで、祐くんは僕の方を見て言う。
「次は空きコマ?」
「うん。祐くんも?」
じゃあ二人でどこか行こうか、という言葉は、形にならずに互いの唇の間に溶けていった。……いきなりキスするなんてずるいよ。祐くんのキスはいつも情熱的で、長い舌でゆっくりと口内を犯していく。まだキスに慣れていない僕に合わせつつ、けれど上顎や歯列をなぞっていくその舌は、確実に僕に快感を与え続けてくれていた。
「ん、ふ……ぁあッ、ふぁ……」
「眼鏡、外していい?」
「うん……」
ぼやけた視界に映る祐くんは、
「俺の顔、見える?」
と言いながらぐっと顔を近づけてきて。確かに見えるけれどなんだか恥ずかしくて、僕はこくりとうなずくことしかできなかった。
「眼鏡かけてるのもいいけど……してない方がかわいいよな」
そう呟いて、祐くんはちゅ、と音を立てて僕の頬にキスをした。そしてTシャツの上からゆっくりと胸元を触ってきて。僕はあわててその手を掴む。
「待って、ここ、外だよ……?」
「外って言っても屋上だし、二人きりじゃん。いいだろ?」
「でも……」
「スリルがある方が楽しいじゃん。ちょっとだけでいいから。な?」
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