コハク色の罪の香り (Page 4)

「抱かれたいん、ですよね。僕に」

「あっ…なに、」

濡れた声で鼓膜を撫でるように囁かれ、思わずビクッとトオルの肩が跳ねた。

コハクの手によってスルスルとベルトが外されて、下着の中に入ってきたその手がトオルの自身を躊躇なく握ってきた。寝起きで微妙に勃ち上がっていたソレは、今はもうナニかを期待するみたいに、完全に上を向いている。

コーヒーの香りがする店の中に、グチグチといやらしい音が場違いにも響いている。慣れた手付きで扱かれているトオルの自身からは先走りが零れて下着を濡らしていた。時折、コハクの舌が首筋を、耳を、悪戯にくすぐってきて、その度にトオルの体はなやましげに震えた。

「は…あっ、コハク、くんっ!」

限界が近くなってきて、トオルはおぼつかない手でテーブルをタンタッとタップする。

「大丈夫。出してー…」

甘く誘うコハクの声に招かれて、トオルは本能のままに精を放った。ドクッドクと、身体のナカから出ていくその感覚が、トオルの理性を呼び覚ましてきた。履いたままだった下着がジュワリと湿ってきて、ブルブルっとトオルは首を振る。

「ごめんコハクくん、俺…」

「黙って」

「何っ…ひっ!」

下着の中に入ったままだったコハクの手が、ヌチヌチと性器を弄っていたかと思ったら、突然後ろを触られてトオルの背がピクっと反れた。放った精を塗りつけたのだろう指が、後孔の入口をチュクチュクと刺激する。

「あれ、トオルさん。もしかして初めてですか?」

意外そうなコハクの声に、逆に突っ込みを入れたくなるのを堪えて、トオルは震えた声で問う。

「はっ…あの、コハク、くんは、もしかして、そのっ…ひぁんっ!!」

ツプ、と孔に第一関節程が埋められたのがリアルにわかって、その初めての感覚に、悲鳴じみた声が出た。

「トオルさん、力抜いて」

コハクの声が、耳の中で反響する。太ももをくすぐるように撫でられて、カクンと力が抜けた。その瞬間、ズププとさらに奥まで指が侵入してきて、ゾクゾクと鳥肌が立った。

「あっいっ…ぁは…んんっ」

初めての感覚に、身体の中がどんどんと熱くなってくるのが怖いとトオルは思った。漏れでてしまう声は、これまで自分で聞いたことのないような卑猥な喘ぎ声で、恥ずかしいと思うのに、我慢することができなかった。

テーブルに突っ伏していた顔が、荒い呼吸と熱にあてられて、息苦しくなってくる。新鮮な空気を求めて顔を横に向ければ、トオルの顔を覗き込んでいたコハクとバチッと目があった。カァッと耳まで熱くなるのがわかった。

「カワイイな。トオルさん」

ニヤリと笑って、コハクはトオルのナカにもう1本指を差し込んだ。

「やぁっひゃっんんー!!」

クチュクチュと、いやらしく濡れた音が、自分の後ろから鳴っている。直接見ることはできないソコがどうなっているのか、想像するだけでもおぞましい。それなのに、止めてほしくないと思っている自分が、トオルは恐ろしく思えた。

願わくば、もっとー…

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